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Jim Legxacy, Annahstasia…今週のおすすめ 5 Best Songs:2023-16

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotifyのプレイリストも更新してます〜


Jim Legxacy

2021年の作品『CITADEL』が記憶に新しい、サウスロンドンを拠点に活動するラッパー/プロデューサー、Jim Legxacyが新作ミックステープ『homeless n*gga pop music』をリリース。UKのラップシーンでもひとつ頭抜き出た存在で、ラップシーンに止まらずロンドンのアングラのポップシーンでも異彩を放っています。自身ではJPEGMAFIAを影響の引き合いに出しつつ、Bon IverやFrank Ocean、Michael Jacksonなどからもインスピレーションを受けたと語っています。
たしかにその語ったアーティストのように、奇想天外なサンプリングや、リズム・ビートの組み合わせた方など、想定の斜め上をいく発想をしつつも、それらをポップにまとめ上げてしまうほどの才気あふれるアーティストです。今作ではアフロビートやジャージー・クラブ、ラテン、トラップなどのリズムに、エモ、インディーなどのフレーバーを織り交ぜた、斬新でメロディアスなミックステープに仕上げています。彼の浮遊感のある甘美なフロウは自由自在で、ときには矢継ぎ早に、ときには甘くメロウな歌声まで、その技量にも驚かされます。ちなみにM4の「miley's riddim」はHannah Montana のMiley Cyrusの「Ordinary Girl」のスピードアップバージョンがサンプリングされているらしく、そういうカラクリも含めてカラフルな彼のパレットが反映された、ノスタルジアでエッジーな作品にまとめ上げています。


Annahstasia

ナイジェリアをルーツに持つLAを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Annahstasiaが新作EP『Revival』をリリース。今作ではM2「While You Were Sleeping」にRaveenaが客演で参加しています。彼女はこれまでにBill WithersやNina Simone、Janis Joplinなどから影響を受けて音楽を制作しているそう。
2019年のデビューEP『Sacred Bull』以降、彼女はどうやって音楽を表現するかを迷ったとのことで、今までプロデュースは他の人に任せていたそうですが、今作から自分自身で納得のいくような作品を目指すため、全曲セルフプロデュースで臨んだそう。また彼女自身、音楽を独学を学んでいて、フォークが自身のルーツでもあるそうで、もともと所属していたレーベルではその方向とは別のR&Bやポップスに推し進め始められてしまったそう。そのような経験を経て、今作は自身の原点に立ち返ったフォーク作品を見据えて作り上げられ、タイトルも『Rivival』と"自分に立ち返る"という意味でつけられています。
そんな今作はフォークをベースとした、アコースティック・ギターの滑らかな響きと、Annahstasiaのソウルフルで壮大な歌声にフォーカスしたオーガニックなEPに仕上がっています。そこに豪華絢爛なストリングスや荘厳なアンビエントなども絡ませて、耽美的で幽玄さも感じられるムードがとても素晴らしいです。フォークロア的なスタイルも垣間見られて、彼女のボーカルのストリーテリングの力強さと、繊細な歌い回しによる機微など、その技量の高さにも驚かされます。今後の活躍もとても楽しみなアーティストです。


Neggy Gemmy

LAを拠点に活動するLindsey Frenchによるソロプロジェクト、Neggy Gemmyが新作アルバム『CBD Reiki Moonbeam』をGeorge Clantonと共に立ち上げたレーベル〈100% Electronica〉からリリース。客演にFrost ChildrenやSarah Bonitoが参加。
今作ではフューチャラスティックな世界観が凝縮された作品で、彼女独特のエレクトロポップの音楽性が存分に味わえる1作に仕上がっています。ハウスやテクノ、レイヴ、ディスコといった煌びやかなエレクトロニックミュージックに、Y2KやVaporwaveなどのムードが溶け合ったサウンド。そこに可憐でメロディアスな歌声が乗ることで、よりキュートなポップミュージックへと昇華し、多幸感あふれるものに。


SPIDER

ダブリン出身でロンドンを拠点に活動するオルタナティヴ・アーティスト、SPIDERが新作EP『HELL OR HIGH WATER』をリリース。
彼女自身も人種によるジャンルの固定概念の壁をぶち壊すアーティストの一人で、黒人であるということである一定のジャンルに押し込められるということへの批評家への反撃であり、パンキッシュな精神が反映された1作に。パンクやグランジ、オルタナなどの音楽性を交錯させた歪んだギターやベースが印象的で、そこに重いドラムがのるサウンドに仕上げています。そこに熱を帯びたクールな歌声による親しみやすい歌メロがまたいいですね。


Avalon Emerson

アリゾナで育ったDJ/プロデューサー/シンガーでもあるAvalon Emersonが自身の新たなプロジェクト『Avalon Emerson & The Charm』を始動して、その初作品となるアルバム『& the Charm』をリリース。私自身は今作で初めて知ったのですが、エレクトロニックミュージック界では革新的なアーティストとしても有名なんですね。今作はプロデューサーにWestermanやNilüfer Yanyaの作品を手がけるNathan Jenkins(a.k.a. Bullion)を招いています。
今作ではそのダンスミュージックの枠を超えた、ドリーミーでスマートな作品に仕上げています。ビートへのこだわりはAvalonの今までの経歴から見ても明らかで、非常にウィットに富んだ多彩なビートアレンジが光っています。そこに浮遊感のあるシンセや彼女のたゆたうような幻想的な歌声が乗ることで、多幸感あふれる神秘的なサイケデリアを感じられる音楽に。この独特な卓越したポップサウンドは、彼女にしか作り出せない桃源郷のような音世界で、一度入り込んでしまうと抜け出せなくなるような中毒性を帯びていますね。

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