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Bonnie Kemplay, Fievel Is Glauque...今週のおすすめ 5 Best Songs:2022-48

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotifyのプレイリストも更新してます〜

Bonnie Kemplay

個人的はとても待望でもある1975を擁するレーベル〈Dirty Hit〉から新たなアーティストの新作が発表されました。
スコットランドのエディンバラ出身で、マンチェスター拠点に活動するベッドルーム・ポップ・アーティスト、Bonnie KemplayがデビューEP『running out of things to say, running out of things to do』をリリース。デビューシングルをBBCのラジオで「なんだこれ?」と思って、レーベル名をみて納得したのを覚えています。そして〈Dirty Hit〉総出で彼女を大プッシュするかのように、先日デビューEPのリリースに合わせて、1975のUKとアイルランドツアーのオープニングアクトに大抜擢。今後確実に世界中で大注目されること間違いないアーティストでしょう。ちなみに今作はプロデューサーにはbeabadoobeaやRina Sawayama、Pale Wavesなどの作品で関わりのあるJoseph Rodgersが担当。
そんな彼女の奏でる音楽は、表面はとても冷ややかでありながらも、内側では熱く燃えているような、2面性を兼ね備えた叙情的なサウンドを奏でています。そこに甘美だけどアンニュイな要素を兼ね備えた、独特の歌声が溶け合うことで、儚げでドラマティカルなものに仕上がっています。
基本的にシンガー・ソングライターの弾き語り的なシンプルなものをベースにしつつも、壮大なアレンジメントによって、エモーショナルな展開に。とても鮮やかでシネマティック、そして幻想的な世界へと誘うようなサウンドには一瞬にしてやられましたね。Soccer MommyやPhoebe Bridgersのような途轍もない才能を秘めていると個人的には感じています。


Fievel Is Glauque

今までにBlanche Blanche Blancheなどアンダーグラウンドシーンで活躍してきた、NY・ブルックリン出身のキーボードのZach Phillipsと、ベルギーのブリュッセル出身のボーカルMa Clémentによる国際的なデュオ、Fievel Is Glauqueがデビューアルバム『Flaming Swords』をレーベル〈MATH Interactive〉からリリース。今作で初めて知ったのですが、2021年に発表した『God's Trashmen Sent To Right The Mess』が既に全世界の早耳リスナー、日本でも話題になっていたんですね。
どことなくレコ屋の奥底の深くに眠っていた、まだ誰も聴いたことない名盤を見つけてしまった感ある、ミステリアスな音楽性なんですよね。ロックやカントリー、ファンク、ボサノヴァ、AORといったバラバラに散らばったピースを、ジャズという曖昧なもので繋ぎ止めているような、非常に奇妙でアブストラクトなもの。それが独特な浮遊感を醸し出していて、全体的にサウンドがふわふわとしています。そんな音楽にボーカルのMa Clémentの嗅覚というか、感覚が鋭いのか、機敏に声質を対応させていく、天才的な所業を軽々と成し遂げてしまいます。一聴すると普遍的なポップミュージックではあるんですが、その洗練され具合が本当に半端ない。しかも18曲収録しているのですが、ほとんどの曲が1〜2分くらいなんですよね。それも驚き。
皆さんもアルバムを最初から最後まで聴いて、愉快で奇妙な音楽世界の旅に出かけてみましょう、と言ってみたくなるアルバムです。ぜひ。


Louis Culture

サウスロンドンを拠点とし、Finn Foxellやp-rallelを擁するコレクティヴ〈Elevation Meditation〉の中心人物で、UKのラップシーンでも注目を集めるLouis Cultureが待望の新作EP『When Life Presents Obstacle』をリリース。作品にはSaint Judeの楽曲の客演やWu-Luの前座も務めたHALINAや、Bawoなどが参加しています。HALINAは今後サウスロンドンシーンの中でも重要人物になるかと思いますので、前に紹介した記事からチェックしてみてください。ちなみにLouis CultureもSaint Judeのアルバム『Signal』に参加していますよね。
ハウスやテクノ、UKガラージなどを絡めたバウンシーなダンストラックから808ビートを織り交ぜた現代的なトラック、ファンクやソウル、ジャズをベースとした楽曲など、そこに彼のクールで柔軟なフロウが折り重なる作品に仕上がっています。Louis Culture自身トラックメイカーでもあり、プロデューサーでもあるため、今作も彼自身で手がけていたりもする、多才なアーティストです。今後UKのラップシーンでより頭角を現していくこと間違い無いかと思います。


Daisy George

ロンドンを拠点に活動するアーティスト、Daisy GeorgeがデビューEP『see me now』をリリース。今作にはラッパーのSANITYが参加。彼女はもともとベーシストとしてPoppy AjudhaやTom Ford、Amaaraeなどのツアーに参加。UKのジャズシーンでも名の知れたプレイヤーのようです。
ThundercatやSqueezeのようなポップスとジャズを組み合わせた音楽性を目指して制作したとのこと。たしかにその系譜を感じるサウンドで、ジャズ的なスキルフルな部分がありつつ、親しみやすいポップメロディーに落とし込んだ作品に仕上がっています。


Sophie Faith

ロンドン拠点に活動するシンガー・ソングライター、Sophie Faithが新作EP『The Right Side Of Wrong』をリリース。前日美しい新作アルバムをリリースしたばかりのStormzyが自身のInstagramで彼女の楽曲を紹介するなど、UKのソウルシーンで徐々に注目を集めつつあります。
その所以としては、彼女の神々しくもソウルフルな美声にあります。シルクのように繊細でありながら、芯のあるボーカルがとても魅力的。サウンドはゴスペルやソウル、ジャズ、ファンクなどを絡めた磨き抜かれたもので、スムースでグルーヴィーな音楽性が非常に心地良いです。

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