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John Keek, ones...今週のおすすめ 5 Best Songs:2022-47

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotifyのプレイリストも更新してます〜

John Keek

Frank Oceanの作品に関わったプロデューサーVegynの主宰するレーベル〈PLZ Make It Ruins〉で新たにサインしたLA拠点に活動するサックス奏者/SSW、John KeekがデビューEP『Do you Love John Keek?』をリリース。彼の人柄はわかりませんが、タイトル名からしてユーモアにあふれた面白い方なんでしょうね。ちなみに彼はKing Kruleライブサポートや作品で関わったり、先日のGeorge Rileyの新作M4「Running In Waves」にも参加しています。
1曲目からピッチ・シフトを使用した歌声と、近未来的なシンセサウンドで幕開けし、いちリスナーとしては「ここから何が始まるのだろう」というワクワク感に満ちた最高の始まり。そして2曲目から曲調がガラリと変わり、ソウルやジャズ、ファンクを織り交ぜた70〜80年代を感じる、煌びやかで甘美な音楽に。個人的にはこういう形でVaporwave風なアレンジをするアーティストがいるのかとゾクゾクしました。ノスタルジア感満載のレトロな音像で聴き応えもありつつも、しっかりと現代的なエッセンスも加えたバランス感覚は秀逸です。歌声もJames Blakeを想起させるような、儚くシルキーな美声で味わい深い。どこを取ってもとんでもない才能に溢れたアーティストですね。あと通して聴いても18分で終わるというそういうラフさも大好きです。


ones

以前このブログ内でも紹介した、ロンドンのプロデューサー/アーティスト、onesがデビューEP『far too long』をリリース。作品にはボーカリストでjust iliとKehinaが参加しています。
2年間かけてじっくりと制作されたとのことで、全体的な音のこだわりがすざましいです。細部まで緻密に練られた立体的な音像で、その奥行きの広さには驚かされました。音楽性としては、ハウスやテクノ、IDM、エレクトロニカ、アンビエントなどをブレンドした、ダークでSci-Fiなサウンドに仕上げています。just lilのたゆたう淡い歌声や、Kehinaの優美な歌声がそれぞれの楽曲で溶け合うことで幽玄なムードを醸し出し、じわじわと深淵へと誘い込むような魅惑的な音楽ですね。


Terra Kin

UKのグラスゴー出身のシンガー・ソングライター、Terra Kinがデビュー
EP『Too Far Gone』をリリース。Terraは既にThundercatやArlo Parks、Kokorokoのライブでサポートをしたり、Fred again..の『Actual Life 2』のM7「Hannah (the sun)」のボーカルで歌っていたりと、各所で注目されています。
Terraの透明感漂うスムースなボーカリゼーションと、息を呑むような優雅な美声が本当に素晴らしいです。サウンドはとてもシンプルで、アコースティック・ギターのアルペジオや、仄かな金管楽器のサウンド、水が滴るようなピアノサウンドなど、ジャズテイストで落ち着いた音楽にまとめ上げています。これから活躍の場がどんどん広がるようなポテンシャルを秘めているアーティストなので、今後の動きも要注目ですね。


Kai Kwasi

サウスロンドンを拠点に活動するアーティスト、Kai KwasiがデビューEP『jalilah』をConnie Constanceなどを擁するレーベル〈Play It Again Sam〉からリリース。
彼の音楽性はまさに”サウス・ロンドン”というような、メランコリックでアンニュイなサウンドで、雨が滴る夜の都市部にぴったりですね。R&B/ソウルやジャズ、そしてインディーを絡めたもので、レイドバック気味でグルーヴィーなサウンドが最高です。さらに時折ホーンの音やメロウなシンセが入ってくるのもアクセントとなり、楽曲の深みが増していますね。また渋くて甘美な歌声からドープなフロウのラップまでこなしてしまう才能も魅力的。Pume BlueやJamie Isaac、BERWYNなどが好きな人は確実にハマるかと思います。


Anna Soleil

ノルウェー出身のシンガーソングライター/プロデューサー、Anna Soleilが新作EP『Forever』をリリース。幼少期からオペラを習っていたようで、一聴するだけでその歌声の幅広さと耽美さが際立っているのがわかりますよね。伸びやかで流麗、なおかつ透明度100%の澄み切った美声にはすぐに虜になってしまいました。
音楽性もエレクトロニックやアンビエント、ポスト・クラシカル、ニューエイジなどを織り交ぜた、幽玄で奥ゆかしいもの。そこに先程の彼女の歌声が重なり合うことで、より楽曲が神々しく洗練されたサウンドになり、独特な浮遊感も漂う、美しいEPに仕上がっています。荘厳なストリングスも要所要所に挟んでくることで、映画音楽のような壮大さも感じられるのも最高だなと。


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