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abstract pop | Surya Sen, Amie Blu, Tenderhost...5 Best Songs:2022-18

前回に続いて今週はリリースラッシュでもあったので、この「abstract pop」を2回にわたって紹介しています。この企画では国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

ちなみに前回は下記の記事です。

Surya Sen

バングラデシュにルーツを持ち、ノースロンドン拠点に活動するプロデューサー/ ラッパー、Surya Senがデビュー・ミックステープ『At What Cost?』をリリース。作品にはNiNE8コレクティヴ所属のBone Slim、Fela.Mi、Di-Vincentが参加しています。
1曲目からロンドンの地下鉄のアナウンスのサンプリングからわかるように、日常の生活音が楽曲ごとに記されており、彼曰く今作はコロナ以降のあるロンドンの一夜を描いているとのこと。
音楽性としては、ハウスやテクノ、2ステップといったダンスミュージック、R&Bやヒップホップ、ニューウェーヴ、ダブなどを織り交ぜた、いかにもUKのアンダーグラウンドシーンを感じるジャンルレスな仕上がりをみせています。夜のクラブに合いそうな多幸感あふれるサウンドに、彼のダウナーで渋く低い声のフロウがまたたまらんのですわ。個人的にLCD Sound Systemといったインディー好きから、Channel Tres好きの人まで幅広いリスナーが楽しめる作品になってるかなと。この作品を聴いていると、ロンドンの地下鉄に乗ったり、ライハウスに行ったり、2階建てのバスに乗ったりとそんな少しロンドンを旅するような気分になれるのも個人的に嬉しいです。


Amie Blu

サウスロンドンからは本当に次々と新たな才能が出続けるにも驚きなのですが、そこから素晴らしいR&B系の新人アーティストを紹介しようかと。フランス出身でロンドンで育った、現在19歳のSSW、Amie BluがデビューEP『5 For U』をリリース。
その歳とは思えない落ち着きがあり、かつ成熟したソウルフルな歌声に一聴しただけで心奪われるかと思います。その天賦の才も感じる流麗で妖艶な美声に、クラシックなソウルから現代的なオルタナティヴ・R&Bをブレンドさせ、そこにジャズなどのエッセンスも加えた、ドラマティックで陶酔的なサウンドが最高ですね。


Tenderhost

TwitterでもUKのバンドシーンを発信しているCasanova.Sさんの記事でも詳しく紹介されています。
ノースロンドン拠点で元Sistertalkというバンドでも活動していたGabriel Levy率いるバンド、TenderhostがデビューEP『The Tin』をリリースしました。僕自身、2019年にロンドンに行った時のPVAとかが出たCamden Townのフリーイベントで、Sistertalkを目当てで見に行ったことを今でも覚えています。個人的にも今後の活動が楽しみだったのですが、残念ながらその後すぐに解散してしまいました…。そしてTenderhostとして作品をリリースして、一聴した時に「これこれ!!!」と個人的にもめちゃくちゃテンション上がってしまいましたね…。
サックスの渋い音が混じり合ったメランコリックで煙たいバンドサウンドに、気怠く甘美な歌声が絡み合う、幻想的でもあり幽玄な音楽性がすざましくいい。ポスト・パンクやインディー、R&B、ジャズを組み合わせた、モノクロやセピア色の淡い映像が浮かび上がるようなシネマティックな音楽性はTenderhost独特の奏でるものだと感じます。ジャケットのように、夜明けを目の前に、街頭の下をトボトボと1人で歩きながら聴きたいです。


THE BLSSM

シドニーとNYを行ったり来たりで育った、THE BLSSM (a.k.a THE BLOSSOM)が2nd EP『PURE ENERGY』を、ParamoreやAll Time Lowが所属する〈Fueled By Ramen〉からリリース。前作はKevin Abstract率いるVIDEO STOREからでしたが、今回はメジャー移籍後のリリースという感じですね。M1〜M3までが、なんとJames Ivyがプロデュースしています。やはり彼が入るだけでこんなにも楽曲のイメージが変わるのかと。James Ivyすげえ…。
彼が参加しているということもあり、全体的に90年代のオルタナ〜グランジや00年代のエモ〜ポップ・パンクを感じる、エネルギッシュだけど爽快なバンドサウンドが最高ですね。初夏の季節から夏にかけてドライブでもしながら聴きたい作品でした。


Scout Gillett

NY・ブルックリン拠点に活動するSSW、Scout GillettがデビューEP『one to ten』を名門レーベル〈Captured tracks〉からリリース。本作は1曲目の「one to ten」以外は、Broadcast、Blaze Foley、Ferrante & Teicher、Brenda Leeのカバーとなっています。
彼女の音楽的背景が滲み出たカバー集ともなっており、アメリカの牧歌的なフォークやカントリーから、グランジやオルタナ、シューゲイザーなどそれぞれの原曲の特性を活かしつつも、彼女独特のインディー感で仕上げられています。特にタイトルトラックで彼女自身の楽曲でもある「one to ten」は、ダークなベールに包まれ憂いを感じるムードに仕上げつつも、後半には光が刺すような神々しい曲に仕上げています。また彼女の優雅でダウナーな歌声も良いですね。


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