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Harve, alayna…今週のおすすめ 5 Best Songs:2023-26

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotifyのプレイリストも更新してます〜


Harve

サウスイーストロンドン拠点に活動するシンガー・ソングライター、Harveがコラボ新作EP『In Time』をリリース。以前このブログの2020年のベストEPでもセレクトしています。今作ではブログでも最重要注目新人アーティストでも挙げたMiso Extraの初となるコラボ曲をはじめ、JaydoncloverやJGrrey、BEBELUNAとNwakkeを客演に招いています。
全曲セルフプロデュースになっており、Harveのソングライティングセンスやプロデュース力に圧倒される作品に仕上がっています。Harve自身の優雅で深みのある美声はもちろん、そこにジャズやソウルをベースとした滑らかで洗練されたサウンドが絡み合う音楽性に。ロンドンならではのメランコリックな質感もありつつ、フィーチャリングのアーティストのテイストに合せて色とりどりに変化していくのも素晴らしいです。全体的にエレクトロニックサウンドの実験的なアプローチも感じられ、Harveのバックグラウンドの広さも窺える作品となっています。


alayna

ニュージランドを拠点に活動するシンガー・ソングライター、alaynaが待望のデビューアルバム『Self Portrait Of A Woman Unravelling』をリリース。alaynaも以前このブログの2020年のベストEPに選んでおります。
とろけるようなメロウなサウンドが魅力的で、海に漂うような開放感と浮遊感に満ちた音楽性となっています。もともとはインディーR&Bやエレクトロニックをミックスさせた音楽性を特徴としていましたが、今作ではアコースティックに重きを置いてとてもミニマルでオーガニックな質感でに仕上げています。その影響もあってか、より彼女の繊細だけど壮大な歌声にフォーカスされて、彼女の美声が際立ったアルバムに。彼女の影響源としてBob DylanやLeonard Cohenを挙げていて、そういったクラシカルで上質なムードを自身の中で培って、今作で発揮されたのかとも感じました。


CHERISE

ロンドンを拠点に活動するシンガー・ソングライター、CHERISEがデビューアルバム『Calling』をリリース。彼女はこれまでにUKでも有名なジャズ集団Nubiyan Twistのリード・ボーカリストとして作品に参加し、一緒にツアーに同行したり、2022年のBlue Note作品のUK新世代による新解釈『Blue Note Re:imagined II』のNorah Jonesの「Sunrise」をカバーしていたりと、UKジャズシーンで徐々にその名前を轟かせているアーティストです。
アルバムの内容自体も非常にウィットに富んだ内容で、R&Bやソウル、ジャズ、ファンク、ダブ、アフロなどを織り交ぜ、磨き抜かれた音楽性にまとめ上げています。ソウルフルでシルキーな歌声が脳内の中で輝き、咲き誇るようなスペシャルな美声も最高です。Oscar JeromeやPoppy Adjuda、Tom Misch、Yussef Dayes、Nubya Garciaといった新世代アーティストたちとも交流があるそうで、今後も要注目なアーティストですね。


Joanna Sternberg

NYを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Joanna Sternbergが新作アルバム『I've Got Me』を名門インディペンデントレーベル〈Fat Possum〉からリリース。2019年のデビューアルバム『Then I Try Some More』も各所で話題となりましたが、個人的には今作の方にとても惹かれました。調べたら今作は、Pitchforkの「BEST NEW MUSIC」やStereogumの「ALBUM OF THE WEEK」にも選ばれていました。
作品の音作りが60年代〜70年代と錯覚してしまうようなローファイな作り込みで、その温もりある素朴なサウンドが心をそっと包み込んでくれるような仕上がりに。Joannaの内省的で叙情的な歌メロも渋く、心の奥底に沁みるようで落ち着きます。正直2020年代の作品と忘れてしまいそうなほど、名盤感に満ちた出来上がりでそれも含めて素晴らしいですよね。梅雨のジトジトして家に篭ってしまった日とかに聴くと最高かと思います。


Me Lost Me

UKのニューキャッスルを拠点に活動するJayne Dentによるソロプロジェクト、Me Lost Meが新作アルバム『RPG』をリリース。今作はDeerhoofやNo Ageなどを擁するレーベル〈Upset the Rhythm〉から発表されています。
音楽性としてはフォークや民族音楽、アンビエント、エレクトロニカ、ノイズ、インダストリアルなどさまざまな要素を組み合わせて、自然と人工物の間を縫うような実験的かつ幽玄なアルバムに仕上がっています。民族的なリズムと、エクスペリメンタルな電子サウンドやビートのミックスの仕方もとてもユニークで、そこに透明感あふれる美声が重なり合うこと、摩訶不思議な世界観を作り上げています。


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