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Sunnbrella, Lou Val...今週のおすすめ 5 Best Songs:2023-8

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotifyのプレイリストも更新してます〜

Sunnbrella

久しぶりにDIIVとかThe Radio Dept.と出会ったときと同じような「天才‥」と感じるアーティストを見つけ出してしまいました。チェコのプラハ出身で現在はロンドンを拠点に活動するDavid Zbirkaによるソロプロジェクト、Sunnbrellaがデビューアルバム『Heartworn』をリリース。今作は共同プロデュースにPVAやSorryを手がけたPatrick James Fitzroyを招いています。
なにが天才か?まず彼のとんでもないソンングライティングセンス。The SmithやAztec Cameraから脈々と続くネオアコ的な洗練されたメロディーから、90年代のマッドチェスター的な多幸感あるリズム、Cocteau Twinsのような幻想的なドリーム・ポップ。それらを違和感なく一体となって奏でられているというとんでもない才能を持ち合わせています。
さらに先ほど挙げたDIIVやThe Radio Dept.的な10年代のインディーもしっかりと昇華し、落とし込んでいるのもやばすぎる。ただの"懐かしい"だけでは終わらせない、しっかりと新たなサウンドも開拓したとんでもない化け物的なアルバムです。彼の歌声もたゆたうような甘美なウィスパー・ボイスも最高で、全曲を聴き終わることには溶けてしまうくらい、インディー好きにはたまらない仕上がりとなっています。The Pains Of Being Pure At Heartのような甘酸っぱさもあったりともうとにかくやばいです。


Lou Val

トロントを拠点に活動するシンガーソングライター、Lou Valが新作アルバム『Goûter +』をリリース。作品自体は去年EP『Goûter』を発表していて、そこに新曲を追加したフルアルバム仕様となっています。また全曲を自身でプロデュースまで手がけているそう。彼自身は2018年のEP『Lonely In Paradise』で、Frank Ocean以降の洗練されたR&B作品的な仕上がりで、さまざまなところから注目を集めました。
僕もその作品からずっと追っているのですが、今作ではより磨き抜かれた彼の作曲センスが濃厚に落とし込まれた素晴らしい作品となっています。特に着目すべき点がトラックメイキングの部分です。重厚で深く沁み渡るビートや、丁寧に緻密に作り込まれたアンビエントやシンセなどの電子音は、煌びやかだけど脆さも同居したもの。そのトラックは、彼のシルキーで透明感漂う優美な歌声に寄り添うようで、より楽曲がシネマティックでロマンチックな仕上がりとなっています。


Sebastian Roca

シドニー拠点に活動するマルチ奏者、Sebastian Rocaが新作アルバム『Slushy』をリリース。2019年の個人的なベストEPにも挙げたアーティストで、ベッドルーム・ポップが流行する少し前から、Puma Blue的な系譜で話題に上がっていました。それこそインディー系の楽曲を輩出しているレーベル〈Nice Guys〉からも作品を発表していたりもします。
ソウルやジャズの要素を散りばめつつ、インディーやローファイを絡めたベッドルーム・ポップ・サウンドにまとめ上げています。彼が特徴的なのは、全体的にひんやりと陰鬱なムードが漂いつつも、気怠げで甘美な歌声が加わることで、ドラマティックで幻想的な音楽にもなりうる、その表裏一体なサウンドです。今までの作品はLo-Fiヒップホップ的なビートを多用していましたが、今作では生演奏でのレコーディングに臨んだようで、管楽器やストリングスも取り入れたことで、よりムーディーな仕上がりになっていたのも個人的にグッときました。


Jordan Ward

ミズーリ州のセントルイス出身で、現在はLAを拠点に活動するアーティスト、Jordan Wardがデビューアルバム『FORWARD』をリリース。作品には Joyce Wrice,やGwen Bunn、Ryan Trey、そしてLidoなどがフィーチャリングで参加しています。ちなみに現在はJIDとSminoのヘッドライナーツアーにオープニングアクトで参戦しているという今後注目されること間違いなしの新人です。
R&Bやインディー・ソウル、ファンク、ヒップホップ、そしてエレクトロミュージックなどを横断した、カラフルでスムースなサウンドが特徴で、メロディアスな彼のボーカルも印象的です。声もピッチ・アップやダウン、トラックもチョップド&スクリュード的なアレンジもしていて、遊び心も垣間見れるサウンド作りも個人的にはツボです。AminéやElujay辺りが好きな人はハマるかもしれません。


Hollow Hand

UK/ブライトン出身のMax Kinghorn-Millsによるプロジェクト、Hollow Handが3枚目となるアルバム『Your Own Adventure』をレーベル〈Curation Records〉からリリース。作品にはTim SmithやSpencer Cullum、Holly Macve、Ryan Pollieなど多彩なアーティストとコラボし、ミックスはChris Cohenが手がけているそう。
古き良き60〜70年代のサイケデリック・ロックやフォーク、ポップスなどを織り交ぜた、クラシカルな音楽性に仕上がっています。素朴だけど牧歌的なメロディーの感じもあって、アメリカの中西部の広大な大地をロードムービーのように車で走り抜けるような壮大さもありますね。彼の歌声も良い感じの渋味があったメロウな感じで、その穏やかなムードもバッチリです。

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