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Cisco Swank, feeo…今週のおすすめ 5 Best Songs:2023-21

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotifyのプレイリストも更新してます〜


Cisco Swank

NY・ブルックリン生まれのマルチ奏者/プロデューサー/SSWであるFrancisco Hayeによるプロジェクト、Cisco Swankがデビューソロアルバム『More Better』をリリース。Luke Titusとのアルバム『Some Things Take Time』でも有名で、去年多くの方がベストアルバムに挙げていましたね。今作でもLuke Titusが参加しており、そのほかMalayaやMorgan Guerin、本ブログでも紹介したYoshi T.などがアルバムに参加。Cisco Swankはこれまでに、SabaやBraxton Cook、Julius Rodriguez、そして最近アルバムが出て注目を集めているKassa Overallと言った、アーティストらと共演。
彼自身の影響源は古き良きものから新しいものまで、ジャンル問わずとにかく聴いていたそうで、その中でも特にMIKEからの影響が強いとのこと。ちなみにステージネームはJoey Bada$$の曲「Hillary Swank」に由来しているらしい。
そんなさまざまなジャンルを横断する彼の作り上げる音楽は、メインとしてジャズをベースとしつつ、メロウでとろけるようなソウルから、気怠げなフロウを乗せたラップや、技巧的に洗練された楽曲まで、幅広くも親しみやすいポップなもの。そんないまの音楽スタイルに行き着いたのは下記のようなことを思ったからだそう。

「ある日はTravis Scottを聴きたい、またある日は実験的なオルタナティブ・ロックを聴きたい、と思うこともある。でも、"ああ、全部聴きたい "と思えるようなものを作ればいい。」

The Luna Collective

個人的にはLke Titusとのコラボ作も良かったですが、ソロ作品の方がより彼のポップセンスが前面に出ていて最高だなと感じました。


feeo

ロンドンを拠点に活動するシンガー・ソングライター/プロデューサーTheodora Lairdによるソロプロジェクト、feeoが新作EP『Ah, hunger』をリリース。彼女はロンドンのアンダーグラウンドではよく知られた名前で、2019年のLoraine Jamesの「For You And I」のボーカリストとして参加したり、最近ではNukulukとも共演しています。
そんな彼女の奏でる音楽はとてもミニマルで、ソウルやジャズ、ニューエイジ、アンビエント、エレクトロニカなどを織り交ぜた、ダークで幽玄な音楽に仕上げています。たゆたう優美でシルキーな歌声も格別で、荘厳なムードの中を切り分けて、華やかに彩っていくよう。トリップ・ホップやブリストル・サウンドを想起させるような、このアングラな感じが最高です。Wu LuやLéa SenSarah MethSaya Grayとも通ずるような才気あふれるアーティストかと。


parthenope

UKのリーズ出身のサックス奏者/マルチ奏者/シンガーであるParthenope Wald-Hardingによるプロジェクト、parthenopeがデビューEP『Go Somewhere Alone』をリリース。彼女は、UK新世代によるBlue Note作品の新解釈『Blue Note Re:imagined II』のNorah Jonesの「Don't Know Why」をカバー曲に収録されているという、次世代を担うUKのアーティストです。
「Chet Bakerのようなシンプルでメロディアスな奏者でいてかつ、美しく歌えるシンガーになりたい」という想いから現在のスタイルに行き着いたそうで、サックス奏者としての実力はもちろん、その他の楽器の演奏も手慣れたもの。さらに注目すべきは、透き通るようで少しビタースウィートで甘美な歌声。先述した「Don't Know Why」のカバーを聴いていただければその実力は火を見るより明らかです。
今作ではその実力が存分に発揮されたもので、磨き抜かれたスムースでメロウなサウンドに、澄み切った温もりのある美声でが包み込むよう。ジャズやネオ・ソウル、インディーなどを盛り込んだ音楽性で、実際に彼女がめざしているようなポップで親しみやすい作品に仕上がっています。LaufeyやConor Albertに続くような逸材かと。


grentperez

フィリピンをルーツに持ち、オーストラリア・シドニーを拠点に活動するベッドルーム・ポップ・アーティスト、grentperezが新作EP『when we were younger』をリリース。
両親からは70年代のフォーク、兄からはR&Bやソウルなどを教えてもらい、自身はRex Orange CountyやTyler, The Creator、Frank Oceanなどから影響を受けたという。そんな彼の奏でるサウンドは、甘酸っぱい青春を過ごしてきたような夏を想起させるような、ノスタルジックでロマンあふれるもの。優美で爽やかな歌声によるメロディアスなフレーズは身体に沁み渡るよう。これから暑い夏を迎える時期にぴったりな作品かと。


Lana Lubany

ロンドンを拠点に活動し、パレスチナとアメリカにルーツを持つシンガー・ソングライター、Lana Lubanyが新作EP『THE HOLY LAND』をArlo ParksやMiso Extraを擁するレーベル〈Beatnik Creative〉からリリース。今作はモダンなオルタナティブ・ポップに、彼女のルーツであるパレスチナのクラシカルな音楽的な要素を組み合わせた作品に。アラビア語と英語が行き来するリリックもユニークで、収録曲の「THE SNAKE」はTikTokを中心に各種ストリーミングサービスでも再生されバイラルヒットに。
音楽性としては、ラテン系のムードに、アラビアンテイストなエキゾチックなサウンドが溶け合った独特のポップさを持ち合わせたもの。そこに独自のボーカリゼーションによる、妖艶でたゆたうような歌声が乗ることで、彼女の世界観に徐々に引き込まれていく力強さがありますね。

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