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90年代の音楽を知らないアナタへ その45 MAN!FEEL LIKE A WOMAN(97)/SHANIA TWAIN 賛否両論!?良くも悪くもカントリー音楽業界を変えたアイコンソング

シャナイアの台頭によってカントリー音楽はガラリとそのイメージを変えた一方で、保守派といわれる、いわゆるカントリーミュージックを昔から愛している特定の人たちの反感を買うことになったのは割と有名な話し。

なぜかといえばカントリーとポップミュージックとの境目がなくなったからである。厳密にいえばなくなって聞こえた、というのが正しいとは思うが。

3枚目となるこのアルバム「COME ON OVERでは」では、シャナイアの音楽性はカントリーシンガーのそれではなく、マドンナやカイリーミノーグ、ジェニファーロペスなどのポップミュージシャンのそれとほぼ同様になっていた。アルバムは全世界で4000万枚を売ったと記録されているが、この数字はもはやカントリー好きだけではあり得ないと言っていい。普段ヒップホップやR&B、ポップミュージックを聴く人たちにも訴える音楽要素が多分にあったからこその結果だということがわかるのではないだろうか。ただそれがカントリーミュージックにとって良いのか、といわれればやはり疑問が残る。古き良きカントリー音楽にポップ路線への変化は必要なのか。ジャンルの境目がなくなって、カントリー音楽の良さが失われることに遺憾を覚える人たちも一定数いるのは、それはそれで気持ちがわかる気がする。このシャナイアの流れが、今のテイラースイフトに影響を与えているのは否定できないと思う。テイラーも、もともとはゴリゴリのカントリーシンガーで売れっ子であったが、よりその上を狙うにはカントリーファンだけを狙った楽曲では限界があったのだ。そこで選んだ道がシャナイア路線、という流れがシャナイア以後の女性カントリーシンガーへ受け継がれている。

さて、このアルバムは捨て曲なしの名盤だと思うのだけれど、中でも印象的な曲がいくつかある。そのうちの一つがこの「MAN ! FEEL LIKE A WOMAN」だ。なんとアルバムから8枚目のシングルカットになっているというのも、このアルバムに捨て曲がないとの発言の裏付けになっている。

この曲はいわゆる女性讃歌、ウーマン・エンパワーメントソング。90年代はそもそも女性の社会進出を掲げた運動や思想があらゆるメディアで盛り上がっていた。音楽業界においても例外ではなく、特に2000年を迎える前の2年ほどはその盛り上がりは沸点に達していたと記憶している。ヒットソングのメインは女性歌手ばかりであったし、ひとりも被るようなヒット曲がないオリジナリティに溢れた才能豊かな人たちばかりだった。

自分が男であることに疑問や後悔はないのだけれど、シャナイアに「LET'S GO GIRLS!」といわれて女性同士で盛り上がれるのなら、女性でありたかったなとこの曲を聴く度に女性を羨ましく思ってしまう。

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