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コスタンツィ/チェロ・ソナタ集 収録曲紹介(1)

はじめに


既報の通り、17世紀前半のローマを代表する作曲家/チェリスト「コスタンツィ/チェロ・ソナタ集」がコジマ録音より発売中です。

朝日新聞で推薦盤に

朝日新聞 for your Collection クラシック音楽欄で推薦盤となりました!👏👏👏👏👏👏

CD注文サイトのリンクはこちら。

懸田貴嗣/コスタンツィ チェロ・ソナタ集


CDリリース時の詳細記事はこちら


さて、ローマのバス・ヴァイオリンの話の続きは、次のnoteでということで今回はコスタンツィ/チェロ・ソナタ集の収録作品のついて少しずつコメントしていこうと思います。

チェロ・ソナタ 変ロ長調(1曲目)

CD1曲目は変ロ長調のソナタ。
Andante - Allegro - Giga Allegroという3楽章のソナタ・ダ・キエザ(教会ソナタ)。

このソナタは全体を通して、実に親しみやすい内容でコスタンツィ入門としては最適の一曲です。優雅で美しい旋律のアンダンテ、快活でにぎやかなアレグロ、ノリノリのジーグでちょっとおふざけ付き、という大変まとまりのよいソナタ。

この作品はサンフランシスコ州立大学のde Bellis collectionに含まれる手稿譜でのみ残されています。画像の通り、Sonataというタイトルはなく、del Sig:r Costanziとのみ冒頭に書かれています。

1楽章アンダンテの冒頭は、下降する低音の上に優雅な旋律が!という名曲の鉄板。

アンダンテは前半も後半に分かれていますが、どちらも最後はこんなリズムで終わります。ちょっとダサかわいいです。

続くアレグロはこんな冒頭。陽キャでテンション高いです。いきなりこんな人が隣にきたらちょっとひいちゃいます。

2段目のd開放弦を使った重音は非常にチェリスト的な発想です。
このソナタで書かれている重音は非常に控えめなのですが、自然に開放弦を使った書法はチェリストならでは、です。こういう書法は弟子であるボッケリーニでもよく見られます。

これは1楽章アンダンテ


フォルテとピアノの交代もきちんと指示しています。

この同音連打するような16分音符の音形はナポリのチェリストSuprianiのトッカータでも見られるもので、共通したものを感じさせます。

F.Supriani Toccata Decima, I-Nc

3楽章は、かなりリラックスした雰囲気の楽しいジーグ!

このあたりはコスタンツィのユーモアが伝わります。

部分的にでも手稿譜をみると、また音楽の感じ方が一味変わりますね。ぜひCDと一緒にお楽しみください。

それにしても、この手稿譜は実に丁寧に書かれていて見やすい。コピスト(写譜した人)の性格がよく分かります。

ということでこのシリーズもまた続きます!

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