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❨3❩1971.9.3 金 雨 旅立ち

生涯決して忘れることがないだろうこの日。

朝から小雨が降っていたが、出航の時は美れいに晴れ上がっていた。

船の別れがあんなにも長く、湿っぽいものとは思わなかった。
ゆっくりゆっくり堤を離れ行く時、送る人も送られる人も、顔の見えなくなるまでお互い気の毒なほど長くーー長く感じられたのだろうか?ーー立っていなければならなかった。

兎も角、「ぶらじる丸」は午後4時、日本の岸(神戸港)を離れたのだ。

心の中は実にサッパリしていた。
別れを惜しむ以上に「南北アメリカ大陸」への夢と憧れと挑戦への気持ちが強かった。

次回9月6日更新

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