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「心とは常に修正されていく地図である」に、働くことに対する心のあり様が示されています。『働く悩みは「経済学」で答えが見つかる 自分をすり減らさないための資本主義の授業』

『働く悩みは「経済学」で答えが見つかる 自分をすり減らさないための資本主義の授業』は、働くことを経済学という哲学で論じているビジネス書です。

「デジタルの対義語はアナログ、ではなく、今やフィジカルかもしれない」「分業:類的存在としての人間の活動の疎外形態を生み出す危険性を持つ」「物ごとは批判的に見なければ、つまらない」など、働くことを各方面の視点から見ることができます。

特に「資本主義における最低限の倫理:自らの尊厳を損なうことはしない」は、資本主義の世界で疲労困憊しないための最低限の方法です。

倫理を巡る3つの視点を見てみると、「感情:人間は知覚の束である(ヒューム)」「快楽・苦痛:最大多数の最大幸福(ベンサム)」「理性:人間の尊厳は価値と比べて見積もることは絶対にできない(カント)」と、3つが三角関係のように、それぞれが関わり合っています。

自らの尊厳を損ないがちな前山のようなサラリーマンにオススメです。

 

「頭よりも、身体のほうが本質に近づいている/知性で捉えられることなど、たかが知れている」「経済=豊かさへの道と道徳=倫理的な生き方への道は一致し得る」「知識は“捨てるべきハシゴ”として、あなた自身の思考を紡ぐこと」などを通して、労働の哲学を分かりやすく教えてくれます。

特に「現代の疲労には原因がない」は、広範囲で競争にさらされてしまい、一時も休むことができない現代の環境を示しています。

モノがあふれており、みんな同じになってしまったのに、人間の本質が差異を求めてしまうことに矛盾を感じているからでしょう。

モノがあふれることで、「疲労することが当たり前」の状態に陥り、「記号と化した商品の差別化の競争だけが繰り広げられていく、差異だけがどんどん広がっていく」ことで、人は疲労していくのです。

解決策は、「こうした構造の社会の中にいることを自覚することぐらいしかない」と、されているところに現代社会の救いの無さが出ています。

疲労困憊なサラリーマンは、まずは疲労することを前提にしてみてはいかがでしょうか。

 

オタクの視点から言うと、「正しく錯覚せよ」に刺さりました。

「“錯覚”と自覚しながら、“錯覚”を楽しむ、“虚像”と知りながら、“虚像”の真実味を味わう、という姿勢」と、正しい錯覚がこれからの労働者の価値を決めていきます。

アニメやマンガは、錯覚や虚像で、仕事ではなく遊びと言ってもいい分野です。

しかし、「遊び:この世界を自らの力で認識していく能力を伸ばすこと」が、これからの仕事に対して、最も価値のあることになるならば、遊びを極めるオタクがこれからの仕事を牽引していくかもしれませんね。

 

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