見出し画像

留学日記#05: オランダ留学とウクライナ

ここアムステルダムに到着してから1か月少し経ちました。感触としては、あっという間だなあという感じです。到着して最初の1週間は、すべてのものが新しくて、慣れるのに時間がかかりそうだなあと思っていましたし、1日がとても長く感じました。英語を話す練習を日本であまり(ほとんど?)していなかったせいか、最初は人と英語でコミュニケーションするだけでも苦労しました(今も?)。

初めての一人暮らしということもあり、それこそ衣食住、生きていくだけでもかなりエネルギーを要しました。自分で食事を用意して、バランスよく食べていく、ということが、思ったよりもむずかしく苦戦しました。最初だから仕方ないですかね。でも、自炊も徐々にできるようになってきて、帰るころまでにはできる料理のレパートリーも増えてきているような気がします。初めてだからこそ伸びしろがあるのは、モチベーションになりますね。

さて、前回投稿した2月24日、ロシアがウクライナに侵攻しました。まだ事態は収束しておらず、戦闘状態が続いています。BBCやNY Timesなどの報道によれば、ロシア軍は非戦闘員に対しても攻撃を行っており、つい先ほど子供の入院している病院が攻撃されたとのニュースを見ました。

ここ数週間の間、インターネット(主にTwitter)でウクライナ情勢に関する記事や投稿を追っています。大学に入ってからあまりTwitterをやらなくなったと思っていたら、またツイ廃のようになってしまいました。まあ、僕たちのゼミの某先生もTwitterの投稿数が異常になっているので、門下生の僕たちも見習うべきということで、これを言い訳にしましょう。はい、すみません。

今回ものすごく感じるのは、まず最新の情報が現地からインターネットを介して伝わってくるということ。しかも、新聞やニュースといったメディアを介さずにです。例えばウクライナの一般市民が、街で市民がロシア軍に抵抗する様子を投稿する。ロシアの学生が、反戦デモをして連行されるおばあちゃんの様子を動画に撮って投稿する。すると、瞬く間に拡散され、私たちのもとに届けられる。

そしてもうひとつ。今私はオランダにいますが、このウクライナの動きは、日本にいる時よりもなんだか身近に感じます。まず、距離が違う。東京から首都キエフまでは10,000km(Google map調べ)ですが、ここアムステルダムからはおよそ(2000km)。感覚としては、東京と沖縄くらいの距離です。そして距離よりも何よりも、陸続きであるということ。オランダ、ドイツ、ポーランド(あるいはチェコ、スロヴァキア)、その隣にすぐウクライナです。今はウクライナで戦争が起こっているけれど、もしロシアがさらにポーランドへ、さらに西へ拡大してきたら・・・とか、想像を巡らせると、恐ろしいです。

大学で「安全保障」を勉強していた時にテキストに書いてあったことが、なんとなく実感として湧いてくるようです。隣の国と国境を接していることが脅威になる、ということの意味が、なんとなくですが分かったような気がします。国境を越えた先に得体のしれない国があって、いつ攻めてくるかわからない、という感覚。日本は海に囲まれていて、海を越えなければ外国には行けませんし、外国から攻められることもないので、なんだか不思議な感覚です。

前回の投稿で紹介した「抵抗博物館(Resistance Museum; Versetsmuseum)」では、ナチス・ドイツがオランダに侵攻した後のオランダの歴史について学びました。プーチンのロシアをヒトラーのナチスドイツと置き換えることが適切かどうかは別にして、それでも、大国が国境を接した小国に侵攻していく様相は、なんだか同じものを感じます。

ロシアに対しては、西側諸国からの経済制裁がなされ、ルーブルは大暴落。VISAカードなどのクレジットカードは使えなくなり、なんとマクドナルドやスターバックスも営業を停止してしまいました。ロシアのバレエ学校に留学していた学生たちが帰国できなくなり、ウラジオストクで足止めを食らったというニュースが話題になりましたが、気になったのがほかの留学生。例えば私の大学ではモスクワ国立大学に派遣交換留学を行っていますが、今年の派遣生は大丈夫なのか、、、。気がかりです。

まさか、戦争の影響がオランダにまで来るとは思いませんでした。アムステルダムには、エルミタージュ美術館の別館(Hermitage Amsterdam)があります。これは、ロシアのサンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館の別館という設定です。先日、その美術館を訪ねて行ったのですが・・・

画像1

なんと、休館になってしまいました。ウクライナ侵攻に対する抗議ということで、すでにサンクトペテルブルクにある本館とはあらゆる関係を断絶してしまったようです。再開の見込みは立っていなかったようです(3月8日時点)ですが、どうなってしまうのか。アムステルダムに置いてある展示品たちは、どうなってしまうのか。ロシアに送り返すのでしょうか。

画像2

エルミタージュ美術館の中庭。ここだけはなぜか静かな雰囲気を感じるのが不思議です。同じ空の下、陸続きの、ここから数千km離れた土地で戦争が起こっているというのが信じられないくらいです。

もう一つ、これは個人的な影響なのですが、本来今週末からポーランドに行く予定でした。西洋外交史のゼミに入っており、かねてよりホロコーストの歴史に興味があったので、アウシュヴィッツ・ヴィルケナウ強制収容所の跡地を訪れようと考えていました。ポーランドはオランダからは少し遠いですが、日本から行くのと比べればだいぶ近い。せっかくなら行きたいと、留学の大きな目的の一つでもありました。

今はポーランドに直接攻め込まれているわけではありませんが、ウクライナから多くの市民が避難してきており、少なからず混乱状態にあります。それがポーランド全体の情勢にどれほど大きな影響を及ぼしているかはわかりませんが、もし事態が急展開するとなれば、数日滞在している間に何が起こるかわからない。計画は一旦見送ることにしました。最初に行く予定だったベルリンから、ドイツの都市をいくつか回る予定です。ホロコーストの関連でいえば、ドイツのJewish Museumにはいく予定ですし、アムステルダムにあるアンネの家にも行く予定です。ポーランドはいずれリベンジしたいと考えてしまいますが、それも情勢いかんによっては、この留学中には厳しいかもしれません。

ドイツといえば、先日ベルリン中央駅に、「私の家には○○人なら受け入れられる」というプラカードを掲げた市民が集まっている様子をBBCの投稿で見かけました。陸続きではないということが大きいと思いますが、日本だったらまず考えられない光景。ドイツという国が、難民と向き合い続けてきた国であると改めて感じさせる映像です。

私たちには、一刻も早く戦争を止め、無辜の市民の殺戮が止められることを願うことしかできません。私は賛同しかねますが、実際にウクライナに行って戦うわけではないのだから、外野の人たちがとやかく言うな、とおっしゃる方も多いようです。ただ、こうしてみると、「外野の人たちがとやかく言う」ことの影響力は、かなり大きくなっているのではないか、その力は思っている以上に侮れないのではないか、とも思います。

例えば反戦デモを弾圧する様子、ロシア兵にウクライナ市民が対抗する様子、国外に避難する家族と国内に残って戦う家族の別れの様子、子供の病院が攻撃される様子、そうした画像や映像がインターネットで拡散されることで、人々の声を集め、それが一定程度力になるのではないか。もちろん、その影響力の大きさは諸刃の剣であることもわかっています。一歩間違えば、偏見や差別の声が大きな力を持ってしまうこともあり得ますから。

私自身ウクライナやロシアに詳しいわけでは全くないので、これ以上込み入った話は避けますが、国際政治を学ぶ一人の学生として、この数週間そんなことを考えていました。一刻も早く事態が改善することを願っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?