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2023年10月の日銀YCC再修正で、今後の住宅ローン金利はどうなる?

どうも、モゲ澤です! 今日のテーマは「日銀の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再修正で、住宅ローン金利は今後どうなっていくのか?」です。

日銀は10月31日に開催した金融政策決定会合でYCCの再修正を決定しました。ニュースでも報道されましたのでご存じの方も多いかもしれませんね。

このnoteでは、このYCC再修正が今後の住宅ローン金利にどう影響するのかをわかりやすく解説していきます。

金融政策決定会合では長期金利上昇を容認

今回の金融政策決定会合では長期金利に関する内容が一部変更されました。

2023年10月の金融政策決定会合による政策変更点

日銀は現在2つの政策を実行していて、1つは短期金利を低く抑える政策、もう1つは長期金利を低く抑える政策です。短期金利を低く抑える政策はマイナス金利(-0.1%)で、これは今回も変わりません。

変わったのは長期金利のほうで、以前は上限金利を1.0%までとしていましたが、今回は「1%をメドに」という表現になりました。何が違うのかというと、以前は1.0%を厳格に守りますよと定めていたものを、「1%を少し上回っても認めます」と緩和したのです。

1番大きな理由は米国の金利上昇です。実際に植田総裁からも米国の金利上昇を意識しているという発言がありました。

米国では金利上昇が続いている

ご覧の通り、米国の10年国債利回り(長期金利)は大きく上がっています。このようなグローバルな金利上昇に伴って日本にも金利上昇圧力がはたらいていますが、今回の金融政策決定会合で日銀は「これを無理に抑えつけることはしないよ」と表明したわけです。

植田総裁は就任前、「YCCは微調整には向かない仕組み」と否定的な立場の発言をしていたこともあり、YCCの再修正を起点とした金融緩和終了の道筋を立てているのかもしれません。

ちなみに私はYCCの早期解除を以前から予想しています。図の青丸がモゲ澤予想、赤丸が実際に日銀が行った政策です。

モゲ澤のYCC解除までの予想

私は2024年3月にYCCが解除されると予想していますが、実際の動きはそれに向かっているようにも思えます。予想が的中するのか、2024年に答え合わせしたいと思います!

2024年以降の日銀の動きを予想!

続いてはさらにその後、2024年以降に金利は上がるのか?ですが、基本的なことから解説していきますね。

まず、インフレにはコストプッシュ型と需要牽引型の2種類があります。

インフレになる2種類の要因

コストプッシュ型は海外からの輸入物価が上がっているため、国内の物価も上昇するという単にそれだけの話です。需要牽引型は「賃金上昇」を起点とした物価上昇の流れで、経済にとってはこちらのインフレが望ましい状態です。需要牽引型のインフレは日本経済の回復を示す兆候だからです。

需要牽引型インフレが起こらない限り、日銀は金融緩和を粘り強く進めるでしょう。植田総裁も記者会見で、「需要牽引型のインフレ傾向は以前よりは強まっているものの、マイナス金利を解除できるほどではない」という趣旨の発言をしています。

では、まず賃金の動きを見てみましょう。賃金はプラス材料が出ています。

下記は厚生労働省が発表している賃金指数です。春闘で賃上げがなされたこともあり、徐々に右肩上がりになってきています。日銀が目指す経済状態に近づいているように見えますね。

賃金指数は回復傾向

この賃金からインフレを差し引いた実質賃金はマイナスに沈んだままなのですが、先日の衆院財務金融委員会で植田総裁は「金融緩和の解除判断時、実質賃金プラスは必ずしも必要でない」と発言しました。つまり、実質賃金が改善中であればマイナス状態でもマイナス金利解除はあり得るとのことです。

続いて物価を見てみましょう。物価は残念ながらネガティブなシグナルです。

日銀は物価の今後の見通しを上方修正しており、2023年度と2024年度は2.8%の上昇を予想しています。

2024年までの物価見通しは上方修正したものの、2025年は2%割れ

この2年の物価上昇率だけを見て2024年度までにマイナス金利が解除されると考える人もいますが、私はちょっと早すぎでは・・・と考えています。その理由は2024年度までの物価上昇にはコストプッシュ型の側面が強く、その影響が落ち着く2025年度は需要牽引型インフレがメインのはずですが、その力を持ってしてでも、2%割れが予想されているからです。

もう1つ、物価の内訳も見てみましょう。消費者物価指数を財とサービスに分解して見てみると、財(パソコンや車など)は上昇しているものの、サービス(散髪代や子どもの塾代など)の上昇はまだ弱い状態です。

サービス価格の上昇はまだ弱い

サービス価格には人件費(=給与)が大半を占めますので、このサービス価格の上昇が弱い現状では賃金上昇→物価上昇のサイクルが回っているとは言い切れず、需要牽引型のインフレとは言えないでしょう。

これらのデータからも日本経済の回復は十分ではなく、マイナス金利の解除までにはまだ距離があると言っていいでしょう。

さらに日本経済は米国経済の影響を強く受けます。米国経済は現在は非常に強い状態ですが、もし大きな不景気が来てしまうと日本経済には大打撃となってしまいます。そういう意味では、米国経済のソフトランディングがしっかりと確認できるまでは、マイナス金利の解除はやりづらいと考えています。実際、速見総裁時代に日銀審議委員をやっていた植田総裁には2000年に行った「拙速な利上げ」の苦い記憶(利上げしたものの、ITバブル崩壊でわずか半年後に利下げを余儀なくされた)があるはずです。今回も利上げには慎重な姿勢を見せるでしょう。

つまりマイナス金利の解除は、来年に予想されている米国利下げおよびその時点での米国経済を見定めた上で判断する必要があり、これも2024年内の利上げは難しいだろうと私が考える根拠のもう一つの理由にもなっています。

ただ一方で、先ほど申し上げたように賃金上昇の明るい兆しが日本には出てきています(これはとても喜ばしいことです!!)。そして、それがサービス価格の上昇を促す力強いサイクルが観測されれば、私が従来から予想している2030年のマイナス金利解除が早まり、2025年内の解除も一定程度あり得ると思います。なお、その確度は感覚値になりますが30%程度と見積もっています。

マイナス金利解除に関するモゲ澤の見立て

また、先日公開された金融政策決定会合の主な意見には下記の意見が見られました。今までにはない、金融緩和解除を意識した発言です。

「2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現の確度は、7月の会合時点と比べ一段と高まっている」

「最大限の金融緩和から、少しずつ調整していく ことが必要」

「低金利が続いただけに「金利 の存在する世界」への準備に向けた市場への情報発信を進める ことが重要」

日銀金融政策決定会合における主な意見の抜粋

日銀の意思決定は総裁1名、副総裁2名を含めた9名体制です。念のためですが、上記は9名全員の意見ではありません。一部そういった発言をする委員が出始めた状態です(私の勝手な推測ですが、利上げに積極的姿勢の高田委員や田村委員の発言では、と思っています)。

賃金の良好なシグナルが出ていますので、将来のマイナス金利解除に向けた地ならしを一部委員が行い始めたのだろうと思います。

日銀のボードメンバー

もしマイナス金利が解除されたとしても大幅な利上げはない

こうした話をすると「じゃあ、万が一マイナス金利が解除されたらどの程度利上げされるの?」と不安になる方も多いと思います。

結論、大幅な利上げはないと思います。まずはゼロ金利にして当面は様子見でしょうね。

政策金利には中立金利という概念があります。経済を熱しもせず冷ましもしない金利です。色んなエコノミストさんの話を踏まえると、現在の日本はその中立金利は1%前後でないかと推測しています。

日本の景気はまだ回復し切ったわけではありません。ゆえに中立金利の1%を超えるような金融引き締めを行うとは考えづらく、ゼロ金利政策を当面続けるか、もし金利をさらに上げたとしても最大でも1%程度と考えています。

日本の中立金利1%を超えるような引き締めは考えにくい

政策金利が低い状態ですと、短期金利も低いままです。つまり、短期金利に連動する住宅ローンの変動金利は当面、現在のような低水準が続くのではないかと私は考えています。

また、以前にもお伝えしましたが、マイナス金利は異常事態です。ゆえに、いつかは必ず解除されます。そして、マイナス金利が解除されるということは賃金上昇を伴う好循環がうまれているという証です。これは本当に喜ばしいことです。決してネガティブな感情を持ったり、パニックにならないように落ち着いていただければと思います。

今後も金利情報やお得な住宅ローン情報を発信していきますので、ぜひフォローやスキ!をいただけると嬉しいです♪

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