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数秘術(占い)が本当に統計学的に正しいのか検証してみる

この記事は、偏愛とマーケティング研究所のマガジン「偏愛研究レポート」に収録されています。毎週月曜に偏愛とマーケティング研究所メンバーの頭の中が更新されていくので、ぜひご覧ください。

この偏愛研究レポートも今回で僕の担当回は4回目になりました。
基本的に何かに役立つかと言われれば全く役には立ちませんが、
これまでもこれからも僕が興味深いと思っているテーマ
扱っていきたいと思います。
過去の記事はこちらからご覧いただけます。

「数秘術は学問だ」

「数秘術」って聞いたことありますか?
何やら生年月日や名前の数字を使って性格や運命を占うものらしいです。

これに関して気になることが一点。
「数秘術は統計学だ」のような書かれ方をしている記事を散見します。
中には「数秘術は統計学だから学問である」というような、僕のように数秘術についての理解が深くない人間からすると論理が飛躍してないか?と思えるような記述もありました。

別にこの記述に対して、批判するつもりは全くないのですが、
シンプルに興味本位で数秘術のどこが統計学なのか気になります。
気になってしょうがないです。
(また何を根拠に学問と言っているのかも気になる)

ということで、今回は数秘術が本当に統計学的に正しいのか検証してみることにしました。

そもそもなぜ統計学だと言われているのか

数秘術とは、生まれた西暦、月、日の数字を1桁になるまで1つずつ足していくというのがルールなようです。
例えば、1999年7月29日生まれの場合、上記の計算をすると以下のようになります。
1+9+9+9+0+7+2+9=46
さらにこの46を
4+6=10
この10を
1+0=1
となり、1が運命数というものらしいです。
(計算方法は複数パターン確認できました。流派のようなものがあるようです。)

数秘術ではこの1桁の数字が大事な意味を持つようで、
この数字によって性格?が9つに分類されるようです。

そして、僕自身が確認できた範囲だとこの9パターンへの分類の方法が統計学を基にしたと主張している記事が複数ありましたが、実際に論文等は確認できなかったのでこの数秘術が統計学なのかどうかは闇に葬られる結果となりました。

しかし、僕らの探究心はこんなところでは諦めません。
どうにかして検証する方法を模索していきます。

そもそも数秘術が統計学を基にしているという主張において気になっている点

"9分類にできること"が統計学を基にしているという主張なのであれば、生年月日を足して1桁にするのはなぜか?

1桁になるまで足す⇒9つの分類になる
統計をとった結果9分類になった⇒1桁になるまで足す

数秘術の9パターンへの分類の方法(性格)を
統計学的に示したのであれば、
統計をとった結果9分類になった⇒1桁になるまで足す
の因果関係になるとは思いますが、
そもそも統計をとって性格を9分類にすることと生年月日を足すということにどのような因果関係があるのか?と疑問が残ります。

逆のパターンで、
1桁になるまで足す⇒9つの分類になる
だとするとそもそもどこに統計を使ったんだという話になります。

統計を実際にとっていることを仮定すると、そもそもどのように統計をとったのか?

そもそも生年月日で人の性格を9つに分類できるとは到底信じられません。
もし仮に本当に当たっていたとしても擬似相関だとしか考えられない。
(つまり性格を決める要因が生年月日ではなく、生まれた時の気温だとか幼少期における同学年の友人たちの発達段階が原因なのでは?ということ)
というかそもそも当たっているのか?

しょうがない。自分でやってみるか。

ということで、疑問点ばかり残って実際に文献等も見当たらないので、自分でできる範囲で本当に統計学的に正しいのか検証してみたいと思います。

まずそもそも、9分類にできるという話ですが、
この9分類はそれぞれどのような割合で分かれるのか?
均等に11.1%ずつに分けられるのか?

ということで、まずはここを検証してみます。

そもそも9分類の分布はどうなっている?

検証範囲は、2024年現在で0歳から100歳になる人までを対象にします。(つまり、1924年1月1日〜2024年12月31日生まれ)

結果はこのようになりました。
そりゃそうです。1日違えば運命数も1ずつ変わっていきます。
しかし、月終わりから月初めに関しては1ずつずれない
(1999年7月29日と1999年7月30日は運命数が1と2で1違いになるが、1999年7月31日と1999年8月1日では運命数が3と1になるので、きれいに1違いとはならない)
ので、多少偏るかなとも思っていましたが、ほとんど偏りませんでした。若干運命数が1とか2になる場合が多いかなってレベルです。(本当に誤差)

今回は365日*100年という割と大きめのデータを取ったためにこのような分布になってしまったのでしょうか?

ということで、次は2024年だけで見てみます。

ほとんど変わりません。やはりこちらも若干運命数が前半になる人が多いのかなというレベルです。

どうやらこの9分類はカレンダー的にはほぼ均等に分けることができそうです。つまり、そもそもカレンダー的に特定の運命数が出やすいというものはなさそうです。

しかし、人間の生まれてくる日に偏りがあるとすると運命数にも偏りが出てくることになります。
そこでこんなツイートを発見しました。

厚生労働省の出生に関する統計データ10年分(1995年~2014年)を元に作られた『誕生日多い順ランキング』というものです。

こちらを見てみると、年末年始や日付が決まっている(固定している)祝日は生まれた人が少ないようです。おそらくこれに関しては病院の都合でお医者さんや看護婦さんがお休みの日に出産と被らないように調整しているのでは?と考えています。

細かい人数がどのようになっているのかはこれだけでは把握できませんが、同順位が少ないので多少の偏りはあるようです。そのため、その年によって若干、人口に対する各運命数の割合は変動しそうです。
(しかし、病院の都合によって運命数が変わるとなると最早運命と言っていいのか?とも思います)

9つの分類の内容に関して

次は内容に関してです。
9つの分類の内容にはいくつか流派はあるようですが、
大まかに次のようなものでした。

情熱家/平和主義者/愛情深い/努力家/楽天家/支援者/リーダー/自由人/研究家

階層クラスター的に考えると、個人的に「愛情深い」と「平和主義者」の組み合わせだったり、「努力家」「研究家」の組み合わせなんかは距離が近い(似ている)と考えています。9つに分けた際に今紹介したような距離が近いものであったり、逆に距離が遠いものが混在しているということは、おそらく距離が近いクラスター(集団)に人が集中しているのでは?なんて想像してしまいます。

ここまで考察してみて実際どう思ったのか

ここまで考察した結果としては、生年月日で計算をすることで何か目に見えない神秘的なものを考えることができるのかもしれないが、実際には病院の営業カレンダーに結構左右されるなと考えた(これもまた神秘的と言われたらなんとも言えないが)

そして、ここまでの考察では実際にこの9分類が生年月日で数秘術を適用した人に当てはまっているのかについては言及していない。

これに関しては、どうしてもデータがないからである。
(そもそも自分に当てはまっているという定義が難しい)

なので、これに関してはちょっと長期的に実験してみようと思います。

数秘術が統計的に正しいのか検証してみることにします

【検証方法】
アンケート調査を実施する。
※アンケート調査で検証をする時点で既にフィルタリングがかかってしまうことに関しては今回は考慮しません。

【調査内容】
協力者に
①これまでの数秘術の経験有無、
②生年月日、
③自分で認識している性格、
④他者から言われる性格

の4つを回答してもらい、この結果を集計する。

協力していただいた方には、データ数が集まり次第、
検証結果とそれに対する考察を公開していきたいと思います。

あなたのアンケート回答がこの検証の精度を上げてくれます。
2分程度で終わるので、ぜひ回答お願いします。
(個人を特定できる情報を記入する箇所は一切ございません)

⬇️アンケート調査の回答はこちらから⬇️


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著者: 納富 崇 / NOTOMI Takashi (Twitter: @takashi_notomi)
偏愛とマーケティング研究所 代表 / データサイエンティスト


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