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小噺XIII: 「もみじちゃんと神々の贈り物:神域からの感謝」

「もみじちゃんと神々の贈り物:神域からの感謝」

輝く日差しの中、一匹の白く愛らしい猫、もみじちゃんは穏やかな足取りで、遠く伊勢の神域から福岡県筑後市の竈門神社を訪れました。彼女の小さな足元には、秋の訪れを告げる色とりどりの花びらが舞っています。

もみじちゃん: 「ぬアーん!美しいお花たち、ありがとうぬあ~。ふくおか、とても素敵だぬあ!」

竈門神社の境内には筑後ちゃん、櫻ちゃん、そして玉依姫命がおり、彼女たちはもみじちゃんの姿に微笑みを浮かべました。だが、もみじちゃんの首輪に施されている豊受大神の紋章――優雅な花菱と豊かな稲穂の意匠に気付くと、彼女たちの表情は驚きと敬意に包まれました。

筑後ちゃん: 「この首輪は…もしかして、豊受大神の神使でしょうか?」

もみじちゃんは、穏やかな表情で頷きました。

もみじちゃん: 「うん、そうだぬあ。もみじは豊受大神の使いだぬあ。」

櫻ちゃん: 「心からの歓迎を込めて、こんにちは、もみじちゃん。」

続いて、もみじちゃんは首輪に付いた小さな巾着袋の紐を開け、その中から輝かしき宝石を取り出しました。

もみじちゃん: 「これ、豊受大神さまからの贈り物だぬあ。深い感謝と共に、ささげるんだぬあ。」

玉依姫命の瞳は、もみじちゃんの小さな手から現れた宝石に釘付けになりました。その輝きが彼女の心を照らすようで、神聖な瞬間の静けさが境内に広がります。

玉依姫命: 「これほどの輝きを持つ宝石を私たちに… 何故、豊受大神さまはこんなにも私たちを…」

もみじちゃん: 「ええ、実はぬあ、もみじは豊受大神さまと心を通わせているから、その感謝の気持ちや考えを感じることができるんだぬあ。小春ちゃんたちが秋葉神社でカグツチさまと協力し、神の力と神域を復活させたことや、他の神社の神力も維持し、向上させているのを豊受大神さまは感じていたんだぬあ。そして、その感謝を形にして、この宝石を贈るんだぬあ。」

もみじちゃんの言葉に、筑後ちゃんと櫻ちゃんも驚きの表情を見せます。そして、もみじは彼女たちにゆっくりと頭を下げました

また、もみじちゃんは優しく微笑みながら続けました。

もみじちゃん: 「豊受大神さまは全ての神様とその使命を大切にされているぬあ。そして、筑後ちゃんたちの行動は、神界に多くの希望と活力をもたらしてくれたんだぬあ。この宝石は、ほんのささやかな感謝の気持ちを込めたものだぬあ。」

宝石は、紫と青のグラデーションが美しく、中には小さな星々がキラキラと輝いていました。それは、見る者の心を打ち、まるで宇宙のような無限の広がりと可能性を感じさせました。

筑後ちゃんがそっと言いました。

筑後ちゃん: 「私たちのしたことが、こんなにも大きなことになるなんて思ってもいませんでした…」

もみじちゃんは、再び宝石を高く掲げ、その輝きが境内全体を優しく照らしました。神聖な力が微細な震動となって、全ての存在に柔らかく広がっていきました。全ての者がその温かな光と力に包まれ、内なる平和と感謝の気持ちで満たされました。

さらに、もみじちゃんは櫻ちゃんに向けて、木花咲耶姫からの愛らしい伝言を届けました。

もみじちゃん: 「それとぬあ、櫻ちゃん。ここに来る前に幾つかのお社に泊まって浅間さまにお世話になった時に、木花咲耶姫さまが現れてもみじに伝えてっ言ってたんだぬあ。“あなたに会いたいぬあ、もふもふしたいぬあ、ぎゅーって抱きしめたいぬあ”ってね。」

櫻ちゃんは、顔をあからめてもみじちゃんの頭を優しく撫でながら、穏やかに微笑みました。そんな彼女の笑顔の中には、木花咲耶姫への深い愛情が込められていました。もみじちゃんはうっとりと目を細め、「ぬあーん」と幸せそうな声を上げました。

こうして、神使もみじちゃんを交え、新しい友情が芽吹き、竈門神社に新たな物語が静かに紡がれて行きました。

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