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小噺Ⅺ: 「神託の饗宴」の甘い誘惑

竈門神社に奉納されたのは、翠月堂の「神託の饗宴」。
この和菓子は、筑後市を代表するその圧倒的な味の魅力と、その貴重さゆえに数が非常に限られているため、福岡地方の神々の間では特別な決まりや不文律が存在する。

この和菓子を食べた神は、半年何でも言うことを聞かなくてはならない。ただ、お菓子を持ってきた神に返すこともできるが、その味の魅力はそれを許さないほどだった。

玉依姫命は、その和菓子から⚪︎⚪︎神社の神の特有の神気の香りを感じ取った。「これ、⚪︎⚪︎神社の神が持ってきたものね。」と彼女は言った。

筑後ちゃんは、「お願い事をされるのは心配だけど、この味を私は知っている。こんな素晴らしい甘味を放っておけるわけがない…」とつぶやいた。

櫻ちゃんは、「返すのも一つの方法だけど、こんな美味しそうな香りを放つもの放っておけるわけがない!」と、和菓子に手を伸ばそうとした。

玉依姫命は、手を止め、「待って。少しは我慢するのよ。」と櫻ちゃんをたしなめたが、自身も食べることを楽しみにしている様子だった。

結局、三人はその誘惑に負けて一口ずつ食べてしまった。筑後ちゃんがうっとりと「これは...やばい!」と言うと、櫻ちゃんも、「やばい!こんな美味しいもの初めて!」と返した。玉依姫命は、「この美味しさは...ドクターペッパー20本分に匹敵する魅力がある」とつぶやいた。

最初に「神託の饗宴」を口にした筑後ちゃん。彼女の瞳は瞬く間に星のように輝き、「う、う、うま〜!」と言葉を失ってしまうほど。その滑らかな食感と甘さが、舌の上で舞い上がるかのように感じた。「これは…こ、これは…!」と、彼女は言葉が出なくなり、ほっぺたをクイクイと押しながら、目を細めて右の口元からよだれをたらし美味しさに浸った。

次に櫻ちゃんがその和菓子を食べる番だった。神の使いであるが元々秋田犬の御霊の彼女は、一目でその和菓子を見るなり、よだれがダラダラと流れ始めていた。一口食べると、彼女の目が飛び出るかのような驚きの表情に。櫻ちゃんは、「も、も、もっちもち!しっとり!甘さも絶妙!」と、目をキラキラとさせながら筑後ちゃんたちを見ていた。人間になっている状態の櫻ちゃんであるが後ろに綺麗な尻尾をのぞかせ高速でふりふりしていた。そして「もぐもぐ」と音を立てながら、幸せそうに食べ続けた。

玉依姫命も、和菓子の前で、堂々とした雰囲気が一変し、キラキラとした目をして食べ始めた。「ふわっ…これは…!」と声をあげると、瞬時に彼女の頬が柔らかく赤くなり、「こんなに美味しいものは初めて!甘さ、うまみ、もっちり感が絶妙に調和してるわ!」と、彼女も筑後ちゃんや櫻ちゃんと同様に、その美味しさに夢中になってしまった。

『ああ、食べちゃった、、。お願いされてしまうかもと思いつつ手が止まらない、、。』と涙する玉依姫・・・😭

三人の神々は、それぞれの反応で「神託の饗宴」の絶妙な美味しさを堪能し、お互いの反応に笑いながら、楽しい時間を過ごした。

三人の神々はその後も、和菓子の魅力について語り合い、⚪︎⚪︎神社の神にどんなお願いをされるのかを予想しながら、楽しい時間を過ごした。

竈門神社の裏手には、古くから伝わる池が存在していた。この池の近くには自然に囲まれた小さな祠と空間があり、その中には筑後の守護者として知られるたぬきが住んでいた。人々は彼を「筑後の守護者」と呼んでいた。彼は神々の動きをずっと見てきた賢い存在で、特に和菓子には目がなかった。

玉依姫命たちが和菓子を食べ終えると、池の方から「キューン」と言うなき声がして、その中から筑後の守護者が姿を現した。「あの…もしよろしければ、その和菓子を私にも少し分けていただけないでしょうか?」と、彼は恥ずかしそうに頼んできた。

玉依姫命は、「あら、筑後の守護者様。残念ながら、私たちが全部食べてしまいました。今度、翠月堂で新たに手に入れたら、分けて差し上げますね」と微笑んだ。

筑後の守護者は、「それは、ありがたい…。どうもありがとう楽しみにしてます。」と、感謝の気持ちを込めて頭を下げた。

櫻ちゃんは、「たぬきさんも和菓子好きなんだね」と笑顔で言い、筑後ちゃんも、「たぬきさんも食いしん坊だね」と楽しそうに笑った。

筑後の守護者は、玉依姫命たちと少しの間、和やかな会話を楽しんだ後、祠の方戻っていった。彼の背中を見送りながら、玉依姫命は、「筑後の守護者さまっていつもここで私たちの様子を見ているのかしら?」とつぶやいた。

そして、三人の神々は、再び竈門神社の中に戻り、日常の業務に戻ることになった。しかし、その日の出来事は、彼女たちの心に深く刻まれることとなり、「神託の饗宴」の話題は尽きることがなかった。

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