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004 近藤真彦/ふられてBANZAI(1982年)

作詞:松本隆 作曲:筒美京平 編曲:後藤次利

マッチの曲の中でもあまり語られることがない曲だと思うんですが。
こういう曲こそが京平さんの真骨頂だと思うんですよ。

元ネタはサム&デイヴ「Hold On I'm Coming」ですね。
まず歌い出しのAメロは、跳ねたリズムと反復するコード進行。
前半の4小節はシンプルな下降メロですが、後半の5〜6小節でいきなり高音に飛ばすメロが出て来る。
タツローさんが言ってたんですが、マッチは下降ラインを歌うときは安定するけど、上昇ラインは苦手だと。
それを踏まえて「ハイティーン・ブギ」を作ったってことなんですが。
京平さんも当然そういうことは分かっていたでしょう。
でも、マッチは高音を歌うときに少しガナるような感じになるので、熱血感が出るんですよ。
ちょっとソウルフルになる。
そういうのを狙ってる気がする。
そして7〜8小節目でブレイクして、落ち着いた早口フレーズからの、ブラスが合いの手を入れて来る。
いや〜たった8小節の中で見事な構成力です。

あと、サビ前の「綺麗に 綺麗に 綺麗に 綺麗に サ・ヨ・ナ・ラ」のところは、まるでブラスが吹くラインを歌っているかのようなフレーズ。
非常にリズミカルです。

サビのところでは、「BANZAI BANZAI」の裏でブラスが「Hold On I'm Coming」的なリフを吹き、続く「ふられて ふられて チェッ チェッ チェッ チェッ」のオリジナルなメロが続くという、イントロを分解したような構造。
明らかに原曲を意識しつつも、そのままやる気はまるでない。
だから、こういうのはパクりじゃなくてネタなんですよね。

さらに、「綺麗に 綺麗に 綺麗に 綺麗に サ・ヨ・ナ・ラ」「BANZAI BANZAI Ah ふられて ふられて チェッ チェッ チェッ チェッ」と、言葉も反復しまくり。
こういうのはソウル・ミュージックを換骨奪胎したようで見事です。
京平さんなりのソウルなんですよね、これは。

そんなに大名曲!ってわけではないんですが、実に京平さんらしい曲だなと思いました。



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