サルでもわかるNISA講座 その23「金(ゴールド)に投資する-買ってはいけない投資信託(ファンド・オブ・ファンズの手数料)&為替ヘッジについて」

金に投資する投資信託を選ぶんだけど、投資対象が金という世の中に一つしかないものだけに、手数料だけで決めていいと思って選び始めたんだな。そしてとんでもないことを発見。

例によってマネックスのファンド検索で「金」をキーワードにソートすると、信託報酬が一番低い銘柄は日興アセットマネジメント運用の「ゴールド・ファンド」。信託報酬は0.407%。「これでいいか」と思ったんだけど、一応パフォーマンスをチェックすると5年のトータルリターンが15.01%でシャープ・レシオが1.28。2番目に信託報酬が低い「iシェアーズ ゴールドインデックス」(信託報酬0.5805%)は5年のトータルリターンが15.03%でシャープ・レシオは1.30。「あれ?」ってなったわけ。

で、「ゴールド・ファンド」の中身をチェックするとETF(上場投信)に投資してんだな。ETFにも信託報酬がかかるんだけど、「ゴールド・ファンド」の月次レポートで手数料の項をチェックすると「投資対象とする上場投資信託証券には運用などに係る費用がかかりますが、投資する上場投資信託証券の銘柄は固定されていないために、事前に料率、上限額などを表示することができません」ってなってるわけ。つまり先の0.407%にはETFの信託報酬は含まれていない。投資しているETFはIAU (信託報酬0.25%)44.3%、GLDM(信託報酬0.10%) 43.8%、IAUM (信託報酬0.09%)7.0%、GLD(信託報酬0.40%) 4.8%。それら信託報酬を加重平均すると0.1801%。これは隠れた手数料で、「ゴールド・ファンド」の実際の手数料は0.5871%で「iシェアーズゴールドインデックス」より高くなるんだな。そしてこれが相当悪質なのは、投資している4つのETFは全て金に投資するものだから、パフォーマンスは同じ。分散効果もないのに複数の銘柄に敢えて投資している理由は一つ。ETFの手数料を「銘柄は固定していないから計算できない」として隠しているということ。

これはいわゆる「ファンド・オブ・ファンズ」という投資信託を投資対象とする投資信託だけど、投資対象の投資信託にも信託報酬がかかるのは当たり前。その二重の信託報酬を説明しないで、一般の投資信託として投資家に売るのは騙し以外の何ものでもない。金額にすればわずかなものだけど、不誠実極まりない。こんなレベルの低い投資信託会社がいまだに存在していることが信じ難いわ。個人相手だから甘く見てんだろうけど、プロの風上にも置けんな。マネックスもこんな投信を採用すべきじゃないんだけど、投信担当者も目が届かなかったのか。情けないわ。投資家の方で賢くなってこういう投資は除外しないとってことでしかないのかもしれんな。

iシェアーズの方も投資対象は自社のNYSE上場のIAUっていうETFなんだけど、0.5805%の中にはETFの0.25%の信託報酬は含まれている。円建ての商品にするために余分な手数料を取ってるけど、それは明示されてるということ。

ということで、金に投資する投資信託は「iシェアーズ ゴールドインデックス」で決定。

為替ヘッジの話を簡単にしとくわ。海外資産に投資する場合、為替リスクがあるんだけど、そのリスクをなくすことができる。それが「為替ヘッジ」という手法。しかし、それにはコストがかかる。そのコストは(ドル円の場合)「アメリカの短期金利と日本の短期金利の差」によって決まるわけ。そしてアメリカの金利の方が高い場合、それは持ち出しになってリターンを低下させるんだな。

為替リスクをヘッジすると「理論的には」現地通貨で投資している投資家にとってのリターンになる。あるいは為替が全く動かなかったとした場合のリターンと言ってもいいかな。

ところがそのコストってのは結構高いんだな。「iシェアーズ ゴールドインデックス」の為替ヘッジなしのトータルリターンは、3年で15.15%、5年で15.03%だけど、為替ヘッジありだと-0.70%、5.12%に低下する。じゃドルで投資していた投資家はそんなにリターンが低かったかというと、ドル建てのIAUは2.77%、8.54%のトータルリターン。

先に言ったように為替ヘッジのコストは短期金利差で決定するから、日本の金利がアメリカよりも高い時にはむしろプラスに働くんだけど、大概アメリカの金利の方が高いので、ヘッジはコストがかかるということ。為替リスクを取りたくないなら、為替リスクのない投資対象と分散することの方が効率的。なので(日本の金利とアメリカの金利が逆転するような状況を除けば)「為替ヘッジなし」の選択でいい。

そして、金投資はユニバーサルな資産と以前カテゴライズしたけれど、為替リスクがあるから、海外資産としてカウントした方がいいと考え直しました。以上。

(Face Book 2/14/24の投稿を転載)

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