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ひんやりとした、秋の爽涼な空気を感じながら、栂ノ尾バス停を出発した。 雨上がりのトレイル。 ぬかるんだ地面にできた水たまりに、1枚の色づいた紅葉が浮かんでいる。昨夜の雨の影響だろうか。清滝川を流れる水が、青白くにごっていた。 栂尾・槙尾・高雄は三尾と呼ばれる、京都を代表する紅葉の名所である。高雄から清滝川沿いに広がる錦雲渓は、清流に映える紅葉が美しい。今日は錦雲渓を伝う京都一周トレイルを、栂ノ尾から嵐山までつなぐ。 水をたっぷりと吸ったコケの緑が目に鮮やかで
「川口さん、ホタルはよかったですね。いやぁ、よかった」 一夜明け、トレイルを再び歩き出してもY内青年はホタルの感動をしきりに口にしました。ぼくだって、野生のホタルを目にしたのは子供の頃以来のこと。それに、ホタルをお目当てにしていたわけではありません。ほんの偶然に巡り会えたのですから、やはり感動はひとしおだったのです。 今日も嵐山を目指して京都一周トレイル®を歩きます。トレイル標識の94番で、ついに北山西部を歩き切りました。ここから先は最後のルート、西山コースを歩きます
山の家はせがわから美しい林道を歩き、京見山荘に着くころには午後2時を回っていました。そろそろ今日の幕営地を考えなければなりません。この先にある沢ノ池か、さらに先の高雄までゆくか、悩ましいところです。 が、見上げると西の空が曇に覆われ見通しが利きません。どんよりとした曇の合間から、雷の音が聞こえてきました。 まずい、ひと雨くるぞ。 気圧低下を知らせるアラートが、登山時計からしきりに鳴ります。 どこかで雨具を用意しようか、と立ち止まったそのとき、轟音とともに大き
今、京都一周トレイル®を歩いています。 まだ6月の梅雨時だというのに、いったいこの暑さはどうしたことでしょう。気温30度を超える中、樹林帯のトレイルは暑さと湿気でまるで蒸し風呂のような環境です。 叡山電車二ノ瀬駅を出発し、夜泣峠を経て最初の山、向山へ到着しました。すでに速乾ウエアの機能が追いつかないほどの汗をかいています。ここが本当のサウナなら大汗をかいても冷たいシャワーやビールの楽しみがあるのですが、そんなものがあるはずもありません。まったく、この先の旅程が思いや
箕面駅の改札をくぐると、数羽のツバメが忙しそうに飛び交っていた。 今年も箕面駅前に、いくつかツバメの巣ができている。 ホームがふたつの決して大きな駅ではないが、駅前にはバスのロータリーやちょっとした広場があり、コンビニやパン屋、銀行ATM、それに土産物屋が並ぶ。改札を出て目線を広場の上にある白い柱に向けると、かわいらしいツバメの巣が並んでいるのだ。その下には、段ボールでしつらえた糞の受け皿が取り付けられている。 そっと中をのぞくと、かえったばかりと思わしきヒナが
ウグイスのさえずりもだいぶこなれてきた。 平地の桜がすっかり散った今、さえずりは完成の域に達している。大切なパートナーを呼びこむためのものだ。ウグイスもきっと、練習を積むのだろう。 美しい歌声に耳を傾けながら、階段の続く尾根道を登ってゆく。 よく晴れた4月のとある日、大阪と奈良にまたがる金剛山を妻とふたりで訪れた。 金剛山の最高峰は1,125mで、葛木岳、湧出岳、大日岳の三峰からなる。関西で一二を争う人気の山といってもいいだろう。四季を通じて大勢の登山客が訪