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空手を愛する元総長

はじめに。

これから紹介する人は、僕の地元の先輩であり、誰にでも優しく、誰にでも愛されてる人だ。

僕は、周りの友人達が暴走族を始めた16歳の頃、1人で渋谷の街に出てしまったので、暴走族を経験していない。それどころか、単車すら乗った事が無い。

これからお話する人は、地元で有名だった、龍龍會に所属していた総長のお話。

1996年から1999年までの足立区の暴走族の様子を、取材してきたので、良かったら読んでほしい。


先輩の名前は青田君。


青田君は14歳の頃から空手を始めて、中3の5月に初めての試合で準優勝をして、そこから18歳になるまで全ての試合で優勝して、尚且つ大人を含めたMVPまで取っている。

それもそうだ。空手を始めて2年で黒帯を取った。

普通に黒帯を取ろうと思ったら10年はかかるみたいだ。

だがそんな青田君も、空手と出会う前の14歳の頃は、学校にも行かず、家でドラクエのゲームばかりやっていたみたいだ。いじめられていた訳じゃないが、学校生活に、あまり馴染めなかったらしい。

そんな時に空手に出会い、無我夢中で毎日練習したりして、学校にも行くようになった。

中学三年の頃には、空手で鍛えた腕っぷしを、悪そうな不良達に、試したくてしょうがなかったみたいだ。

なんでこんな弱そうな奴らが、イキがってるのか、不思議でしょうがなかったと言っていた。

青田君は高校に入ると、喧嘩に明け暮れた。

ただ普通の不良と違うのは、人の道に外れた事は絶対にしなかった。

女連れなら喧嘩もしないし、もちろん卑怯な事もしなかった。

ただ己の強さだけを求めて、「地元で4本の指に入るぐらい有名になってやる」と高校一年生で決意したみたいだ。

17歳になると同じ高校の仲間と、地元の足立支部、龍龍會に入る。

それからすぐに竹ノ塚龍龍會が結成されて、青田君はNo.3の特攻隊長に任命された。

僕が渋谷にいた16歳の頃も、龍龍會の名前は渋谷のクラブの連中の間でも、話題になってたぐらいだ。

それから竹ノ塚龍龍會は色んなチームと喧嘩しては勝利して、どんどん勢力を上げていった。

そんな時、葛飾区の水元公園で抗争があり、青田君率いる、竹ノ塚龍龍會は殺人事件を起こしてしまった。

その時の事件はニュースにも取り上げられて、

逮捕者も龍龍會だけで60人も逮捕されたそうだ。

だが奇跡的に青田君は逮捕されなかった。

この事がきっかけで、竹ノ塚龍龍會の頭も逮捕された事から、今まで数々の喧嘩で貢献してきた、青田君が先輩から、お前が頭をやれと任命された。

ようやく念願の総長の座を掴んだ青田君は、今まで以上に勢力を上げて、暴れまくった。

暴れに暴れて、地元で青田君の名前は広がりすぎた。素手の喧嘩も強いのに、相手がナイフを使えば取り上げて、躊躇なく刺しまくっていた。

そんなイケイケの青田君も、竹ノ塚龍龍會を続けていく中で、見えない縦社会に嫌気がさしてきた。

当時、足立区には数チームの暴走族があった。

乱乱會や藁人形や足立東連合、武道會などいくつも気合いの入った暴走族があるなか、竹ノ塚龍龍會はその中でも別格だった。だんだんと他のチームも青田君の人間性にお互い惹かれて、一緒に行動するようになったみたいだ。

だが、乱乱會や他のチームと仲良くしてた青田君を、龍龍會の先輩達はよく思わなかったらしい。

その頃から先輩達に、そいつらを取るか俺達を取るか、どっちかにしろと言われてたみたいだ。

青田君は悲しくて、しょうがなかった。

今まで体をかけてきたチームの先輩から、そんな事を言われ、青田君は自分のチームでは無く、乱乱會の友人を取ったみたいだ。

僕の読者なら分かると思うが、乱乱會の友人とは、僕が書いた、竹ノ子物語に登場したケンタ先輩の事だ。

その事をきっかけに、青田君は竹ノ塚龍龍會を、引退した。見えない縦社会に疲れ、青田君は今思うと、19歳の総長やってた頃が、生きてきて1番辛かったと教えてくれた。優しい性格が毎日の暴力に、合わなかったんだろうな。

敵チームのケンタ先輩を庇ったあの日から、今も青田君とケンタ先輩は親友同士だ。

あの時、どっちを取るか苦渋の決断をした事だろう。龍龍會の先輩達かケンタ先輩達か、どっちが正解だったか分からないが、俺達後輩から見ると、羨ましいくらい仲良くて、本当に2人は現役時代に、殺し合いしてたのかと思うぐらいだ。

青田君は今でも空手に携わっている。足立区の不良や子供達に体育館で空手を教えている。

kー1の大沢文也も青田君の教え子だ。

僕も格闘技を始めたきっかけは、青田君の空手から始まった。初めて空手をした日に、青田君から強烈なボディーを喰らい倒れたのを覚えている。自分がどれだけ弱いのか、空手を通して思い知らされた。

最後に青田君に、空手を通して子供達に伝えたい事はありますかと聞くと、「俺はこれだけはブレずに伝えてる、優しさこそが強さだと」

青田君らしいなと僕は思った。

根が真面目で優しくて、強くて、友達思いで、そんなカッコイイ先輩なのに、後輩の俺達にも、同じように接してくれる。

だから俺は書きたかったんだ。

暴走族の総長までのし上がった男が、今も変わらず空手を通して礼儀や優しさを子供達に教えてる。

僕自身もこの人には心を開いてる。先輩としてより、同じ男として。

僕もこれから従業員に教えて行こうと思う。

本当の強さとは優しさだと。

青田君、生い立ちを書かせて頂きありがとうございました。これも優しさだと感じております。

青田君の事を執筆出来るなんて、夢にも思わなかったです。感謝しています。

押忍。

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