見出し画像

資本市場の人間が、資金調達をする側に来て思うこと

はじめまして!
株式会社ユニラボのCFOの西野です。

当社では、シリーズCのファイナンスについて、3月15日にプレスリリースを出しました。

ファースト・クローズの調達額は、エクイティで13億円、デットで12.8億円(うち7.8億円が長期)の合計25.8億円となりました。ご参加頂いた投資家様、金融機関様にはこの場を借りて、御礼申し上げます。

今回の資金調達では、苦労することもたくさんありました。そのあたりはCEOの栗山のnote(https://note.com/noriokuriyama/n/n71b1374ce556)にも書いておりますので、是非ご覧ください!

ファイナンスについて体系的に整理されたnoteはたくさんありますし、その中には正解もあるかと思います。今回のnoteで何かテキストブック的な整理は提供できないのですが、私の資本市場に偏ったバックグラウンド(銀行で資金運用・調達→証券会社で株式アナリスト&トレーダー→機関投資家として上場株投資、合わせて14年)に基づいた考えや体験を描くことで、こういうファイナンスの見方もあるのかと、一つでもNewな発見をしてもらえると嬉しいです。

マーケットを読む重要性

資金調達をする上で最初にすることは、資本市場の見通しを持つこと

資金調達をするにあたって、最初に何をすべきでしょうか。事業をきちんと伸ばすこと、を除いて考えます。投資家を惹きつける華麗なストーリー作りでしょうか?ロジカルで綺麗なピッチブックでしょうか?それとも、綿密な事業計画でしょうか?

正解は各社各様かと思いますが、資本市場の見通しを持つこと、が最初にくると私は考えています。というのも、マーケット環境によって、「誰から、いくらで調達するか」が大きく異なると考えるためです。

スタートアップに出資する投資家については、ベンチャー・キャピタルの方たちに加え、近年では上場株を主戦場とするクロスオーバー投資家と言われる方たち、直接投資をされる事業会社の方たちも増えてきました。ですので、一見すると、間口は広がったように見えます。

ただ、一貫して言えるのは、タイミングの差こそあれ、多くの投資家は上場市場の影響を受け、投資を引くタイミングでは引く、という点です。そのため、「いつ調達するか」は非常に重要になります。

足元も、スタートアップにとっては厳しい調達環境が続いていると言われています。我々も例外ではありませんでした。ここ数年の株式市場、とりわけグロース市場の動きを見ても、相場が崩れる時は一瞬で、市場は3ヶ月で完全に別物になります

東証マザーズ指数を例にとります。米国発の金利上昇懸念等を背景に、2021年12月に1000ポイントを超えていた同指数は、わずか3ヶ月足らずで660ポイントへと下落しました。時価総額の3分の1が消失したことになります。新型コロナの影響が大きく懸念された2020年1月以降も同様です。900ポイント以上あった同指数は、3ヶ月もたたず、600ポイント弱になりました。

発行体の調達バリュエーションは株価指数以上に下がり得る

こういった急落の最中やその後の市場低迷時にファイナンスを実施すると、調達金額やバリュエーションが大きなマイナス影響を受けてしまいます。その中でも特筆して注意すべきことは、発行体のバリュエーションは株価指数のバリュエーション以上に下がり得るということです。

ある企業が相場の急落(上記マザーズの例のように時価総額が3分の2になる)前に、PSR(時価総額/売上)10倍で10億円の調達を計画していたとします。同じ希薄化水準の前提で、かつ、バリュエーションはグロース市場全体の下落幅と同じ程度マイナスを被ると仮定します。その場合、PSRは6-7倍、調達金額も6-7億円となってしまいます。

ただ、残念なことに、実際の調達バリュエーションはもっと(3分の1以上)下がってしまう可能性があります。株価指数の下落以上に類似企業の株価とバリュエーションが下がってしまうことが多々あるためです。スタートアップ側が類似企業として参照する上場企業は、成長著しい素晴らしい企業が多いのですが、それらの企業は株価のパフォーマンスも良好であることが多いです。結果、相場のダウントレンドでは利益確定の波にも押され、株価指数以上に売られてしまいうことも多くなります。以下に成長著しい、某国内SaaS企業のPSRを示しました。PSRは3ヶ月で3分の1程度になったことがみてとれます。

成長著しい会社群の平均PSRが15倍であった場合、グロース市場全体の株価が3分の2の下落に留まっても、それらの企業とそれらの企業を類似企業としている発行体の妥当PSRは、例えば、半分の7-8倍になってしまう可能性があります。

事業計画とピッチブックを作るのに3ヶ月かかってしまった場合はどうでしょう。その間に市場は豹変し、全ては水の泡になってしまうかもしれません。

シリーズCの調達を開始する前の2021年の冬、当社が市場をどう見ていたかというと、「近いうちに株式市場はピークアウトするかもしれない、ただ、調整は短期か長期かは読めない。他方、市場金利は上がる可能性が高く、金融機関の信用供与もタイトになり得る(クレジットスプレッドは上がる)」でした。

なぜ株式市場がピークアウトすると思っていたかは後述しますが、上記の見通しを踏まえ、当社では、まずは年初からデット調達を優先的に取り組むことにしました。

結果、当社は運よく2022年3月末時点で、ランウェイ1年分以上のデットによる資金調達に目途をつけることができ、その後のエクイティでの資金調達を残キャッシュを気にすることなく実施することができました。

デット調達では「順番」や「プロダクト」も考慮

デットを金融機関から借りる上でのポイント

「デットを金融機関から借りること」について考えてみます。最も大事なことは、金融機関の審査を意識した事業計画になっているかです。提出する計画によって、金利負担や借入期間が変わる可能性もあります。

金融機関は、事業の成長性も考慮して融資を決定しますが、成長性以上に、資金の回収可能性を見ています。ですので、先行投資をたくさん実施し、短期的に赤字を大きく掘る事業計画よりも、黒字化の目途がたったリスクが抑えられた計画が好まれます

時間をかけ、いかにトップラインが綺麗に、スカイロケットに伸びる計画を丁寧に描いても、大きな赤字を掘り、黒字化が大分先の計画は、そもそもデットの調達には向きません。今からデット調達を考えている方は、事業計画における、ポテンシャル、リスク、保守性等を明確に示した方がよいかもしれません。
(決議、承認した計画をベースに、ブルベアのシナリオを示す等)

やや詳細の話となりますが、黒字化を示すには、シナリオごとに固定費(人件費や地代家賃等の共通費)の見通しを示すことも意味があるとみています。例えば、「現状、人件費は先行投資で嵩んでいますが、黒字化を達成するに最低限必要なFSはx名、ISはx名、CSはx名、エンジニアはx名、コーポレートはx名です。結果として、損益分岐点はxxとなります」といった具合です。黒字化を説明する上では、先行投資であるマーケ費等の変動費が一巡することで示すことがどうしても多くなりますが、固定費である人件費等も生産性改善の具体的な計算式とともに、改善可能性を示すことも重要だと考えています。

デットをいくらで調達するか、を考えるにあたって、金利について考えてみます。政策金利が上がると、銀行からの短期借入の金利が上がります。政策金利が上がらなくても、中長期金利が上がれば、銀行からの長期借入の金利が上がります。景況感が悪くなると、ベース金利(短期プライムレートやTibor)に上乗せされる信用スプレッドが拡大します。当然、全てがコントローラブルではないのですが、どの年限で、何%で借りるのか、を可能な限り当社では意識しました。

スタートアップの場合、借入金利は一般的に高くなることが多いです。長期で借り入れるとすると、1%程度、借入金利が変動することも少なくありません。5億円借りると年間で500万円ですから、決して小さな金額とはいえません。

調達の順番はデット→エクイティの順

誰からいくらで調達するか、について書きましたが、エクイティとデットの両方で調達を考えている場合、どちらを先に調達した方がよいでしょうか。我々の場合、デットから調達しましたが、優先順位はあるのでしょうか。

毎月赤字を出しているという前提にはなりますが、スタートアップにおいては、デット調達を優先すべきだと考えています。

一つ目の理由は、上述した通り、エクイティの出し手と比べ、銀行を中心としたデットの出し手はバランスシートをとても重視するためです。極端な言い方をすると、バランスシートを見て回収できると思えば、銀行は事業モメンタムが芳しくなくても、貸出を実行することができます。

スタートアップは先行投資により、赤字を掘りながら事業をグロースしていくことが多いと思います。ただ、赤字を掘り続けると、銀行の観点からすると、返済原資となる現預金が減ります。場合によっては債務超過となるため、貸出はしづらくなります。ですので、銀行からの借入は、バランスシートが健全なタイミングで実施するに限ります

二つ目の理由は、デットでランウェイを長く確保することで、追い込まれることなくエクイティ・ファイナンスに臨むことができるためです。市況が厳しいと、ファイナンスの完了にはとても時間がかかります。立場的に弱いスタートアップの場合、バリュエーションで買い叩かれることも多くなります。

三つ目の理由は、エクイティ投資家から「金融機関からの信認を得ている」と判断されることから、エクイティ調達も進めやすくなるためです。

なお、デットとエクイティの同時調達を否定するつもりは全くありませんが、スタートアップが長期の借入を実施するのは容易ではなく、せっかく借り入れたものの、短期の借入であり、ほぼ使わなかった、といったことが十分起こり得ます。

ただし、借入の目的が「借入実績を作ること」である場合、非常に意味があると思っています。当社でも、まずは実績を作ることを目的に、短期の借入を複数回、複数年にわたり実施してきました

加えて、借入を実施するにあたっては、利用するプロダクトにも順番があると考えています。

借入は、まず資本性を持つプロダクトから

市中銀行、政府系問わず、金融機関は様々なローンプロダクトを提供しています。とりわけ日本政策金融公庫や商工中金が提供している資本性ローンは、スタートアップにとって、とても心強い味方となります。

私は、借入の順番として、まずは資本性ローンを借り、その後、それ以外のプレーンなローンを借りるべきだと考えています。理由は、資本性ローンは長期の貸出であることが多く、また、実質的な自己資本を強化した上で他の金融機関との交渉に臨めるからです。今回のシリーズCでもその順番でファイナンスを実施しました。

そう考える背景にあるのが、金融機関の与信スタンスです。一般的に、資本性ローンは金融機関の自己査定上、自己資本とみなされます。例えば、バランスシート上の自己資本がマイナスであっても、自己資本と同ローンの利用により資本算入されている金額との合算値がプラスとなれば、債務超過と見なされない可能性が高まります。債務超過である、またはなりそうな会社に対し、銀行は貸出することを渋ります。仮に貸出を実施していても、債務超過はコベナンツ条項の抵触事由であることが多く、期限前返済を迫られる可能性もあります。

なお、資本性ローンを借りるにあたっては、業績そのものが芳しくない必要がある、と考えるスタートアップが少なくないようです。ただ、必ずしもそんなことはありません。

例えば、日本政策金融公庫の新型コロナ対策資本性劣後ローンでは、利用要件として、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた法人または個人企業の方であって、「独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合から出資を受けた方」とあります。ここでいう、中小機構が出資する投資事業有限責任組合とは、いわゆるベンチャー・キャピタルのことです。つまり、該当するベンチャー・キャピタル(該当数は多いです)から出資を受けており、コロナから多少の影響を受けたスタートアップであれば利用できる制度と捉えることができます。

資金に余裕があることが前提ですが、資本性ローンとそれ以外の借入を同時並行で進めた場合、後者の交渉は後にし、コミュニケーションにあえて時間をかけるのも一つの手かもしれません。レバレッジ度合いや返済余力も考慮する必要がありますが、足の長い資本性ローンが入っていることにより、市中銀行からの借入が円滑になることもあります

市中銀行との付き合い方

最後に、市中銀行との付き合い方についてです。
銀行を使い分ける、とまでは言いませんが、銀行、あるいは、支店ごとの特徴を認識しておくことは非常に重要だと考えています。

雑駁ですみませんが、融資スタンスに関連し、当社では以下をご相談させて頂いています。
(当然、全部は教えてもらえません)

・銀行、担当拠点、支店はそもそもスタートアップ融資に積極的なのか
・支店、支店長はいくらまで決済できるのか。関連し、審査は支店でするのか本部でするのか
・担当者に、案件を通そうという強い意思があるのか
・資金使途は一般的な運転資金だけなのか。設備資金も対象となる場合、ソフトウェア投資やオフィス移転(含む敷金)も対象になるのか
・運転資金としての妥当額を決める行内の計算式はどうなっているのか
・どうすれば短期借入を長期借入へと転換できるのか

また、取引深耕の観点からは、以下をご相談させて頂いています。

・付帯取引をどこまで重要視しているのか
・預金平残を一定額以上に保つことを行内ではどう判断しているのか
・担当者の業績考課上の重要項目は何か

株式の調達で意識すべきこと

次に、株式で調達するにあたって、いくらで調達するのか(バリュエーション)についてお話できればと思います。

発行価額の決定で重要なこと

バリュエーションをどうすれば高くできるか、についてここで話はしません。ただ、発行価額を決定する上で、重要と感じているポイントを3点だけ書かせて頂きます。

・必要な金額が確保できていること
・既存投資家が最低限納得していること
・ポストの時価総額が、投資家のEXITを意識して設定されていること

投資家のEXITを意識するということ

最初の二つは皆さん意識されていますが、最後の一つは会社によるのかなと思っています。ただ、投資家のEXITを意識しないと、いわゆるオーバーハングと言われるものが、長期間にわたり発行体を苦しめ可能性が高まります。

最近、ダウンラウンドでの上場が増えています。ダウンラウンドでの上場は、これまで支えて下さった投資家の方が売出しに参加するのを困難にするため、発行体としては当然避けたいところです。

ダウンラウンドが主因で売出株数が少なくなり、かつ、公募による資金調達額も小さい場合、かなりの長い期間、株式の流動性が少なくなります。結果、売り圧力が根強く残る中、売買する上での流動性すら与えてもらえないことから、投資家から敬遠される状態が続きます。

また、残念ながら、プロの投資家は個人、機関投資家問わず、そういった会社を見逃しません。彼らは、空売りを通して利益を上げようとします。ロックアップ期間の終了を虎視眈々と狙いながら、です。私も機関投資家をしていた時は、貸株の需給、結果としての貸株レートの変動を見ながら、市場の売出に対する期待値を推し量っていました。

ご参考)株式市場のピークアウトをどう予想するか

先ほど、株式市場のピークはどう見極めるか、についてお話させて頂きました。正直なところ、こればかりは正解はありません。

ただ、正解に近づける方法として、バリュエーションを過去と比較する、有識者の意見に耳を傾ける、投資主体別売買動向の変化を読む、チャートから買われすぎのサインを感じる、IPO銘柄の初値動向をくまなく調べる、いろいろあるかと思います。なお、一般的でこそないものの、私も重要視しているのは、「DCFでバリュエーションしました!」が増えているかどうかです。

バリュエーションの過去比較

株式市場の参加者の多くは、常にバリュエーションの過去比較をしています。使えるツールにより分析できることは異なるのですが、今回は、誰でもとれる東証のデータを使ってバリュエーションを過去と比較してみてみます。

東証はマザーズ指数の月次のバリュエーションデータ(https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/misc/04.html)を開示しています。データが取れる過去10年弱をみてみると、同指数の平均PERは100倍程度であることがわかります。それに対し、PERは2021年の年央で、過去最高水準である200倍を大きく超え、400倍まで上昇していました。もちろん、個社要因によるマザーズPERのゆがみ、当時はマーケットがPSRをより重視していたこと、また、PER自体がNew normalの水準を織り込んでいたこと等、いろいろと解説はできるのですが、誰もが確認できる範囲で、PERが過去最高水準を大きく更新していたというのはファクトであり、いつ崩れてもおかしくないと推測すること自体はできたはずです。

バリュエーションシフトはPER to DCF via PSR

証券会社や機関投資家がバリュエーションをする時、過去の一定期間を参照し、それ対比で高いか低いかを比較します。また、バリュエーションはPERやPBRが一般的です。例えば、PERの場合、過去3年平均が18倍、過去1年平均が15倍であるのに対し、現在、この株式のPERは10倍なので割安です、といった具合で割安感を判断します。

株価がPERで見て割安なときは、PERの相対感を見て投資判断すれば問題ないことも多いです。ただ、株価が上がりすぎると、PERで株価を正当化するのが困難になってきます。その時に出てきやすいのが、利益の額がとても小さい、もしくは赤字の会社を評価するために用いる売上マルチプル(PSR、EV/Sales)や利益調整マルチプル(PEGレシオ ※PER/1株当たり利益成長率)となります。

主たるマルチプルとして売上マルチプルがグロース市場で当然のように受け入れられ始めると、投資家は市場のピークを意識します。PSRやEV/Salesは売上成長率、PEGレシオは利益成長率を踏まえて妥当性が判断されるのですが、その時には、とりあえずこれだけ「成長」しているので、PERが割高でもOK、というよく分からないロジックが存在することになります。

ただ、投資家は、「おや」と思いながらも、高いマルチプルを甘んじて受け入れます。受け入れないと市場に勝てないからです。また、これらの指標は、コンセンサスを含め市場にデータがあるので、比較自体は可能であり、投資するためのロジックは一定作れます

ただ、DCFとなると、将来キャッシュフローや割引率を計算するにあたり、多くの変数が出てきますので、導かれた妥当株価はオンリーワンであり、比較が非常に困難になってきます。また、変数の設定によっては、いくらでも妥当株価を高くすることができるため、違和感を持つ投資家がさらに増えてきます。

機会があれば、証券会社のアナリストレポートをみてみるとよいかもしれません。PERでバリュエーションされていた株式のバリュエーション基準が、PSRとなり、最後にDCFになるケースが散見されます。目標株価もそれに応じて上がります。バリュエーションを変えた本当の理由は、旧来のバリュエーションでは正当化できないから、がほとんどとの理解です。

終わりに

今回、初めてnoteを書きました。読みづらい点も多かったかもしれませんが、最後までお付き合い頂き有難うございました!

最後に、超蛇足です。
冒頭で、「こういうファイナンスの見方もあるのかと、一つでもNewの発見をしてもらえると嬉しい」と書きました。

私は、誰の話を聞く時であっても、Newの発見をするように努めています。最後に、そう努めている背景を、少しだけ書かせて頂きます。

10年以上前の話です。

当時、私は証券会社のリサーチ・アナリストをしていました。20代の若者が、時価総額数兆円企業の株式について、「これは買い、あれは売り」と、偉そうにレポートを書いては、プレゼンテーションして回っていました。当時のレポートやプレゼンを見ると、今でも恥ずかしくなります。

当然、若輩者のプレゼンには耳を傾けてくれない投資家の方も多くいらっしゃいました。ただ、大御所と呼ばれる方ほど、不思議とミーティングを受けて下さることが多かったように記憶しています。

ある日、大御所の投資家の方に尋ねました。
「本日もミーティングをお取り頂き有難うございます。なぜ、私のような人間のプレゼンを、毎回聞いてくださるのでしょうか。。」

回答はこうでした。

「どんな人とのディスカッションであっても、60分聞けば、絶対に気づきはある。それを気づこうとする姿勢、どんな小さな気づきも見逃さない姿勢を私は大事にしている。やっぱり、こうやって間違うんだな、と思えただけでも学びがある。そういう謙虚さを失ったら、市場に勝ち続けることはできない。当然、人としてもよくない。」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?