組織力の源泉

企業には組織規模が企業ごとに異なり、規模が異なることで、組織構造も多きこことなっている。また、組織規模や構造の違いによって、結果として企業力(企業としての力)に大きな影響を与えるのではないかと考えている。

例えば、中小企業やベンチャー企業の場合、多くの場合はある起業家により、企業が設立され、組織として将来的に成長していくこととなる。中小規模の組織規模から大企業に成長するパターンも存在するが、多くのケースで中小規模で留まる事が多いと言える。統計的にいっても、中小企業の数が膨大であるという話を耳にする事があるが、それは市場原理に基づく結果に過ぎない。

中小企業の場合、多くのケースで売上や利益を成長させていき、組織力もそれに伴う形で比例して大きくなるというモデルを描く。しかしながら、多くのケースで何らかの原因により、成長がストップする現象に陥る。競合他社との競争等の外部要因、人事マネジメントの失敗等の内部要因が存在し、企業の経営者は、それらの壁を常に乗り越えていくための戦略策定やPDCAを回していく事が求められる。その過程を経て、企業を大きく成長できるケースが大企業と呼ばれるのではないか。

一般的には、いわゆる内部要因の問題は経営者の経営判断によって改善する事ができるため、経営者は内部要因の改善にフォーカスする必要があると言える。特に、経営者は一定のレベルを超えている場合は経営に関する知識や経験を有しているケースが多く、中小企業規模で戦略策定の部分で失敗するケースは比較的少ないと言える。しかしながら、組織を動かしていくという過程で求められるのは「人を動かす力」である。

人を動かす力とは、人間力の部分であり、他者を理解する能力、自分の意見を上手く表現する能力等である。この能力がない場合、戦略家としての能力は高くても、経営者としての結果は出せない形になってしまう。人は個人で努力する事で高められる知識やスキルは達成できても、人とのつながりの中で自分の真の力が試される事も多くある。そのような状況を理解できる人間と理解できない人間の差は大きく、これからの時代はより重要になるのではないかと考えている。

人を動かすという言葉には様々な解釈があるかもしれないが、強制力を伴うマネジメント手法には注意が必要である。人は権力を手にすると、自分の能力を乱用するケースもあり、そのような行動や組織に悪影響を及ぼす事がある。また、その上司を見て、真似をする部下も現れてくるため、副次的な影響力についても注意が必要である。

中小企業やベンチャー企業の多くがオーナーシップ型の企業であるため、特に経営者は経営者自身を客観視できる能力が求められる。自己を客観視する事は年齢を重ねるごとに徐々に失われてしまう傾向がある点についても留意すべきだ。

会社法上、企業の所有者は株主と規定されているため、中小企業では創業者兼社長のケースが多いが、それは罠にはまりやすい環境が整っている事を意味する。

会社法上、株主の絶対的権利が規定されている以上、周りがどうこうするというよりは経営者自身が自己を客観視し、経営者の周りの意見を取り入れていく謙虚さを持たなければならない。意見を取り入れるという意味は意見をそのまま適用するのではなく、意見を踏まえて、自分の最終的な意見にする事で、影響力の効果を意味する。

企業規模の成長のためには組織力が土台として必要になるが、従業員としてできる事以外に経営者としてやらなければいけない事に気づくために日々自問自答する事も時に必要である。

大企業とは、大企業であるが故に常に優秀な人材が集まってくる環境が整っている。これには、待遇面や社会的信用等の理由になると考えられるが、私たちは、大企業が何故その地位を得ているのかという部分に焦点を当てて、考えるべきだと思う。つまり、大企業も最初は中小規模の組織からスタートしており、様々な壁を乗り越え、紆余曲折を経て、現在のポジションにたどり着いている。企業の差は一言で語ることはできないが、適度は謙虚さは必ずポジティブに働くことが多い。

企業には経営者や管理職、従業員、第三者である監査人等が存在するが、自分が経営者や管理職である場合は、組織を俯瞰して、総合的に最も良い判断を行い、それを実行していく必要がある。その判断が誤っている場合の罪が重い事も注意しなければならない。

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