オーストラリア - 2021年10-12月期の賃金指数

オーストラリアの10-12月期の賃金指数(WPI)が発表されました。

結果は7-9月期と比べて0.7%の上昇年率で2.3%と四半期ベースでは2014年3月以来の強い数字でした。経済回復に伴う人手不足を反映した賃金上昇は今後さらに強いものになることも予想されています。
今期の数字はほぼ市場予測通りでした。さらに2月に豪中央銀行RBAが発表した経済予測ともおおよそ合致しており、市場で予測されていた早期の利上げ観測は一旦落ち着いた感じになりました。

今後は4月27日に発表されるCPI(消費者物価指数)及び5月18日に発表される2022年1-3月期のWPIあたりを見ながら利上げのタイミングが図られていくことになりそうです。RBAはインフレが2〜3%の範囲を多少超えるようなことがあっても一過性の要素を考慮しつつ、安定的にその範囲に収まるまで辛抱強く(patientに)待つとの姿勢を示しています。また、それにあたり賃金指数は年率で3%以上の上昇が必要と考えています。

実際、今期のWPIは2.3%と2014年以来の高い数値だったのですが、最新のCPIが2.6%(Trim平均)となっており、WPIからCPIを差し引いた実質賃金上昇率はマイナス、つまり減少していることになります。過去の賃金上昇率と比べても決して高すぎる数字でないことも下のグラフから分かります。CPIが安定的に2〜3%内に収まること賃金上昇率が3%を超える(実質賃金が上昇する)ことをRBAは利上げの条件としているので、今後どのタイミングでそれが満たされたと判断するかが注目すべきところとなります。

業種別の賃金上昇率は下記のとおりです。
今一番人手が足りていないとされるAccommodation and food servicesが一番高くで3.5%上昇しています。この数値が今後移民や留学生受け入れ再開の影響をどの程度受けるかも注目したいところです。
賃金上昇が低くて目立つのはMiningですね。ロックダウン等の規制が少なかった西オーストラリアの主力産業であるMiningの賃金上昇が低かったため、州別の賃金上昇も最下位(2.0%)でした。

オーストラリアはアメリカと比較してインフレの上昇率が比較的抑えられているので大急ぎで利上げをする必要はないとRBAは考えているようです。ただし、市場予測はまた別の考えを示していることもあるので、両者の違いにも注目していきたいところです。

参考:


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