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一人でも生きていけるけど、それでも一緒にいたいと思うのが愛なんだろ #呑みながら書きました

「れんちゃんって、一人で生きていけそうだよね。なんか、俺じゃなくてもいいって感じする」

彼とわたしは付き合っていた。当時、わたしは20歳。相手はたしか、29歳。まさか20歳にしてこんな言葉をキッカケに振られるとは思わなかったが、そういばこれまでの恋愛もおおむね同じような理由で終わってきた。

酔ってるので、今日はわたしらしくないかもしれない話をします。

一人で生きていく、しかなかった

書いたことが以前にもあるかもしれないけれど、わたしの育った家庭環境はあまり良いものではなかった。衣食住は確保されていたし別に特別な出来事や事情があったわけではない。ただシンプルに、わたしはあの家で安心して眠れた夜はなかった。

毎晩、眠るたびに思う。どうしてこんなに孤独なんだと。

毎朝、起きるたびに思う。わたしの目が覚めることを一体誰が望んでいるのかと。

そういう、幼少期だった。

中学生を過ぎる頃には、家庭環境を理解していた。母が自らのフラストレーションを消化するのが苦手なことや、父がとても結果主義で経過や努力は評価の主軸ではないこと、うちの中では父が一番偉くて、その次は兄、そして母、さいごがわたしであること。

何かを相談すると、答えが与えられること。それ以外の意見はすべて「間違い」であること。間違いはよくないことで、仮に父とわたしの意見が食い違ったら「正解」は常に父で「間違い」は常にわたしであること。

こんな環境で育ったわたしは、ひとに頼るのがすこぶる下手だ。もはや下手とかいうレベルではなく、そもそも思い浮かばない。

何かトラブルに直面した時のわたしのコマンドはこう。

▶正面突破!
▶新しい知恵やスキルをみにつける
▶寝る時間を削る
▶耐える

そもそも「人に頼る」とか「誰かの意見を参考にする」とかがコマンドとしてないのだ。コマンドがないんだから、選ぶはずもない。一人で乗り越えたり、耐えたり、やり過ごしたりしながら生きてきた。だって、そういう家だったんだから。

頼れないから、大丈夫なフリだけうまくなる

人に頼ることができないから、人に心配をかけないことが何より大事になる。心配をかけないために、とっさに感情にフタをしたり、笑顔を保ったり、当たり障りのない返事をしたりするのがうまくなった。大丈夫なフリ、をできるようになってしまった。

これは相手が恋人だろうが友人だろうが家族だろうがあまり変わらない。「そうでなくてもいいっか」と思える相手は数人いるけれど、それでも咄嗟の反応としては「大丈夫ですよ~」が先行する。10年以上培ってきたものだから、しょうがない。

それで、言われてしまうのだ。

一人で生きていけそうだよね、と。
自分と比較して落ち込んでしまう、と。
全然頼ってくれないから好かれてないんじゃないかって思う、と。

その度に、わたしは笑顔を上塗りして応える。「そんなことないよ、すごく助けてもらってるよ」なんて、ね。

一人で生きていけないから、あなたといたかったんじゃない

あの時、言えたらよかったのかもしれない。

一人で生きていけないから、守ってもらいたいからあなたといたいんじゃない。そうではなくて、ただあなたが隣でうたた寝していることや、美味しいご飯を一緒に食べることや、そういう日常が続けばわたしは幸せだった。一人でも生きていける世の中だけど、それでもわたしはあなたと一緒にいたいと思ったの。

なんて、たぶんわたしは一生口にしないけれど。

わたしは守ってもらいたかったんじゃない。支えてもらいたかったんじゃない。むしろ、その笑顔を守りたいと思った。その笑顔を守るのが他の誰かではなくてわたしがいいと思っていた。

それだけじゃ、足りなかったんだろうか。

別に未練も今更ないけれど、これでも本気で愛していたし、わたしの人生の中で唯一(といってもまだ23年だけど)結婚を考えた人だったから、今でもたまにチクットする。あの時の言葉や、わたしの弱さが。

強く在ろうとする、あるいはそうみられる女性の弱さを、引き出せるような人が「良い男」なんじゃないのかな

ちょっと酔いがだいぶ回ってきたので、らしくないことを言っておしまいにします。

強く在ろうとする、あるいはそうみられる女性がいます。女性実業家とか?なのか?知らんけど、まぁそういう人がいる。理由はいろいろで、家庭環境から癖が身についていたり、顔つきがそもそも凛々しめだったり、声のトーンや身長がかっこよかったり。

そういう人が、よく言う。

「かわいげを出すにはどうしたらいいのか分からない」
「せめて可愛らしくするために、本当は前髪ないスタイルが好きだけど前髪をつくってる」

切ないな、と思う。だって、そう思い悩む姿はそもそもかわいらしいし、前髪がないのもあるのもとびきり似合っているから。

人は誰だって、強さも弱さも持っている。ただそれがおもてに出やすいバランスが違うだけ。

強さの奥にひっそりと暮らすその人の弱さを引き出せるような人。そういう人が、「良い男」なんだと思うよ。

「一人でも生きていけそう」な人なのかもしれないけれど、そういう人にこそ、やさしく、花に触れる時のように、そっと寄り添ってみてほしいんだよ。大丈夫、その人もあなたと同じ「ヒト」だから。きちんと弱さももってるよ。

おしまい。

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