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拝啓 世界のすべてが敵に見えてた、あの頃のわたしへ

こんにちは、お元気ですか。

今あなたは、頑張って学校に行き続けているのかな。力尽きて家で休憩中かな。それとも、家で居場所を見出せなくなって、路頭に迷ってる頃でしょうか。

世界のすべてが敵に見えて、誰かを信頼したくて、でも信頼して傷つくのが怖くて、必死にひとりで戦っている。そんなあなたへ、手紙を書きます。

ただ安心したいだけなのに、どうしてずっと苦しいんだろうね

学校に行きたくない。
家にもいたくない。
どこにも行けない。

自分の居場所なんてない。

あなたは、決して欲張りな人ではない。
ただ、平穏と安心を求めていただけ。故意に傷つけられず、ただ一人の人間として尊重される居場所を求めていただけなのに、どうしてずっと苦しんでいるんだろうね。

「大丈夫だよ」って言ってほしかっただけなのにね。
学校に行けない可哀想な子じゃなく、ただ一人の人間として接してほしかっただけなのにね。

たったそれだけなのに、どうして今も、あなたは笑顔の裏で泣いているんだろうね。

「学校に行かなくていいんだよ」しか言えなくてごめん。

22歳になった今、わたしは、フリースクールを運営しています。
あなたと同じように、学校で息苦しさを感じている子どもたちと共に、遊んだり学んだりしながら、日々を生きています。

あなたが必死に求めていたものを、今、13人の子どもたちに対してはリアルで、そして400名以上の子どもたちに対してはネット上で、提供してきました。(届いていると良いのだけれど…)

それでも、たまに迷います。
だって、わたしのところに来てくれる子たちは、みんな一度以上傷ついているんだもの。

学校に居場所がなくてつらい。
体質が学校のスケジュールに合わない。
学校の空間が苦痛。

学校に通わなくなる理由は人それぞれです。
学校の学習方法が合わない(文字より音のほうが学びやすい、とかの)子もいます。人間関係で悩む子もいます。朝起きて夜眠るのが苦手な子もいます。

それを当人が悲観的に受け止めているケースもあれば、楽観的に受け止めているケースもあって。
だから、ここでわたしが申し訳なさを感じるのは、ある種の傲慢なのかもしれません。

でも本当は、その子が最初に通う場所(今の日本では学校)が、その子にとって居心地の良い空間であってほしいのです。
居づらさを感じたり、無理して通ったり、被害を受けた子が通えなくなったりせずに、みんなが笑顔で過ごせるのが一番いい。

それでも今のわたしは、「学校に行かなくていいんだよ」としか言えません。
今の学校のカタチはとてもすべての子どもたちを受け入れられるほど柔軟であるとは言えないことを、他でもないわたし自身が嫌と言うほど体感しているからです。

大人はひとりじゃ無力だ。でも集まれば、あなたの力になれるかもしれない。

子どもが思っているより、大人一人の持っている力は強くありません。
大人一人では、子ども一人守ることさえできないんです。

でも、大人たちが集まれば、何かできることがあるかもしれない。

今、苦しい状況に置かれた子どもたちをどうにか支えようと、たくさんの大人が動き始めています。
先生、親、地域の人、教育関係者、メディアの方、タレント・芸能人の方、わたしたち。本当にたくさんの大人たちが、あなたたちのために必死に動こうとしています。

一つひとつの力は小さいから見えにくいかもしれない。
それでも、少しずつでも、あなたの味方になろうとする人は増えていることを覚えていて。

遅くなっちゃってごめんね。
あともう少しだけ、待っていて。すぐにあなたが生きやすい社会にするから。わたしたち、頑張るから。

どうかこの夏を乗り越えて、秋を、冬を、春を、来年の夏を、迎えてほしい。

9月1日を乗り越えても、悲しみは消えない。それでもわたしは、あなたの味方になりたい。

何度9月1日を乗り越えても、あなたの悲しみは消えなかったね。
相変わらずクラスメイトは意地悪だし、先生は話を聞いてくれないし、親は気付いてくれない。
痛みは消えない。傷は癒えない。土砂降りの空がいきなり快晴にはなってくれない。

それでもわたしは、あなたが夏を何度も乗り越えてくれて、嬉しかったよ。そのおかげで、今、たくさんの子どもたちの相談に乗れている。情報発信できている。

この夏、「もういっそ諦めたい」と思っているあなたへ

ここからは、宛先を変えて。今このnoteを読んでくれているあなたに贈ります。

今年は夏休みが明けるのが早くて、もう二学期が始まっている人も多いと思います。8月25日だったかな。

始業式に行った人、行かなかった人、行けなかった人、行きたかった人、始業式なんて眼中にもなかった人、、いろいろいると思うけれど、あなたはどうだったんだろう。

どんな状況にせよ、今こうしてこのnoteを読んでくれていることが嬉しいです。時間を作ってくれてありがとう。辿り着いてくれてありがとう。


もういっそ諦めてしまいたい、もう嫌だ、辞めたい、
そんなふうに思ったとき、わたしたちのことが少しでも頭を過れたら、と切に願います。

わたしは、あなたの味方になりたいと思っているよ。
あなたの味方になりたいと願う人たちが、たくさんいるよ。

どうか今年の秋、あなたと笑顔で話せますように。

敬具

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いただいた感想。心を込めて書いているから、感想も心に沁みる。


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