こういう時、フリースクールを開き続ける意義
外出自粛、在宅勤務が広まりつつある今ですが、わたしは変わらずフリースクールRizに出勤して事務作業に勤しんでおります。
Rizは3月第1週目(3月2日-6日)は休校としましたが、第2週目より開校の決定をしました。
全国の公立小中学校に休校要請があり、不要不急の外出は避けるよう何度も何度も注意喚起されている今、なぜ場を「開く」ことを続けるのか。その理由をきちんと文章として残しておくことにします。
フリースクールは、どういう場であるべきなのか
フリースクールに通う子どもたちは全員、一度場を奪われた経験を持ちます。それが自ら選んだことにせよ、仕方なかったことにせよ、「学校」という誰もに与えられるはずの空間が、与えられなかった。
子どもたちが、子どもである時代に持てる「場」はそう多くありません。学校、家、塾くらい。高校生になればアルバイトができるようになりますが、「居場所か」と問われると、多くの場合そうではないでしょう。
大人は仕事をかえたり、引っ越したりすれば、新たな場を選ぶことができます。もちろんそこが自分に合う場とは限りませんが、少なくとも「わたしはここに居たくない」ということを主張できるのです。
子どもたちには、それが許されません。
学校に行くのが当たり前で、学校に行かないのは特別なことで、学校のある日中に子どもが街にいるのはおかしいことで、夜に出歩いているのも異質なことだからです。
大人が日中に私服で出歩いたところで誰も気に留めませんが、子どもが日中に私服で出歩ていると気にされるどころか、通報される可能性だってあります。(あくまで「保護」が目的ですが……)
フリースクールは、子どもたちにとって単なる居場所ではないのです。セーフティネット、命綱と表しても大袈裟ではない、と考えています。
フリースクールの「閉鎖」は、子どもたちにとって「ゼロになる」出来事ではなく「マイナス」の出来事なのです。
誰一人来ないとしても、それでもわたしたちは、開き続けます
幸いこれまでは誰一人として感染者は出ておりませんが、まだ安心できる状態ではありません。
感染防止のためにできる限りの対策はおこなっていく所存です。スタッフ全員のマスク着用の徹底、手洗いうがいの指導はもちろん、検温を実施し少しでも体調に不安・心配がある場合には無理せず休むよう、スタッフにも生徒たちにも声かけをしています。もちろん、わたし自身も。
精神的に少しでも不安があってお休み(休学)される場合には、連絡さえいただければその分の学費はいただかないことにしています。補助金や助成金を受け取っていない民間の教育施設であるわたしたちとしては正直苦しいところですが……ご家庭の負担を少しでも抑えるためです。
そして実際に、多くのご家庭でお休みの判断がされています。普段は1日5人程度が過ごすRizですが、3月は多くても3人程度、平均1~2人です。ご家庭からの連絡次第では「今日は誰も来ないだろうな」という日もあります。実際に0人の日もあります。
けれど、誰一人来ないとしても、それでもわたしたちは、開き続けます。フリースクールとして子どもたちの居場所であり続けます。
子どもたちが、ご家庭がしんどい思いをしている時に寄り添うための場として、わたしたちはこの空間を作っているからです。子どもが「行きたい」と思った時に、間違いなく開いている場でありたいからです。
行きたい時に行ける場所。
いつだって自分の味方が待っている場所。
不安が解消できて、ちょっと笑顔になって帰れる場所。
この場所へ行く自分のことが、好きになれるような場所。
そんなフリースクールを目指して、これからも誠心誠意力を尽くしてまいります。
コラムより引用
未だ予断を許さない状況、ただでさえ精神的に落ち込みやすい時期です。わたしたちは医療従事者でも感染症の専門家でもありませんから、子どもたちの命を実際に守ることはできません。
けれどわたしたちの行っていることは、いずれ子どもたちの命を、尊厳を守ることに繋がると信じています。
できることから、一つずつ。焦らず騒がず、冷静に恐れ、学びつつ、今あるものを守りきるために、愚直に取り組んでいく所存です。
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