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父のすごい歴史~6回の結婚歴①~

父との最期のことはこちらの記事に↓

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父の「すごい歴史」は医師も驚かす、数えきれない病歴だけではない。

父は交通事故で亡くなり、被害者側だった。加害者側は配達バイクの運転手だった。

私は両親が離婚後、母の方へついたので、父とは戸籍上は別々。

しかし、血縁関係にあって長女ということで喪主もそうだが、今回の事故に関する対応は私が全てやった。1年超かかった。金銭の余裕もなく生活の為にダブルワークをして家族で何とか乗り切った。お金よりも時間が足りなかった記憶が濃い。子犬ちゃんのケアも含めてとにかくやることが多すぎて、この1年間の睡眠時間は平均1日3~4時間位だったと思う。


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さて、事故の対応について。加害者側が加入していた保険屋の担当者は葬儀後間もなく自宅近くの喫茶店まで書類を色々持って何度もやってきた。

父の事故パターンでいう賠償金算出とは、もし父が生きていて働いていたらどれだけ収入が得られていたかがベースになると言われた。闘病中で生活保護を受けていた訳なのでその月額に予測余命期間をかけたものになるそうだ。マニュアル気味に淡々と保険屋に言われた時には悔しい気持ちと失われた命を金額に算出することがすごく心地悪かった。まだ20代であった私は保険用語も含めて分からないことが多く都度都度質問しまくっていたからか、明らかに馬鹿にしている様な態度もちらほらあった。知識が足りなくて悔しい経験をした。


とにかく賠償金の事務処理を進めるにあたり、まずは父の「除籍謄本」が必要とのこと。区役所へ取りにいく。除籍謄本とは戸籍謄本と似た様な記載方法でつまりは亡くなった本人の歴史が全て記載されている。

父の歴史をはじめて見た。心臓がばくばくしていた。

6回の結婚歴と、子供が6人いた。

ひとりで声に出して、「いち、にい、さん、よん、・・・」と数えた。

母と父は1度離婚してまた再婚した、つまり6回の内、2回は私の両親。そして子供6人の内2人は私と妹だ。知らない兄弟姉妹が4人いるようだ。最後の子供が私たち姉妹ということ。

生前父からは、数回結婚歴があって一番最初の子供のことについて、ふわっと聞いたことがあったが、超リアルな謄本で目にすると結構なインパクトであった。

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そしてさっそく大きな壁にぶつかるのだった。

その除籍謄本を保険屋へ提出した。回答はこうだった。

「お父様のお子様全員へ賠償金は支払う必要があります、というよりもお子様全員に受け取る権利があるのです。よって、確認をとっていただきたいです。受取辞退されるか等も含めて。とにかくはお子様全員の確認がルール上必須です。ご本人の印鑑も必要です。」

会ったこともないし、ついさっきまで存在さえ知らなかった「お子様たち」(もうおじさん、おばさんでしょう)にどうやって連絡をとるのか。謄本に記載されているのは出生時の住所のみだ。頭が真っ白になった。

私「連絡が取れなかったらどうなるのでしょう。」

保険屋「大変申し上げにくいのですが賠償金のお支払い手続きはできません。1円もお出しできないということです。」

頭が真っ白な状態から、真っ赤な炎色に変わった。何か、スイッチが入った。

法律上、ルール上それが必須ならばやってやると。あきらめたら保険屋が言う0円だ。まさか引き下がれなかった。「父の為に」。

この日から足りない知識の蓄えと、知らない「4人のお子様たち」についての独自調査がはじまったのだ。パソコンもスマホも持っていないしお金もない。がむしゃらに自力でスタートした。

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