【本】まる子、タバコを吸う

　２１歳のまる子は、タバコを吸うのか。
　さくらももこがタバコについてのエッセイを書いていたので、面食らってしまった。

　ちびまる子ちゃんはさくらももこを投影した主人公なので、作者の分身ということになるなら、まる子も将来タバコを吸うことになるのだろうか。

　彼女曰く、一利ニ利を得るためにタバコを吸うのであって、タバコを吸うからこそ、健康に気を使っているらしい。健康のためにタバコを吸うというあべこべな主張を熱弁するこの人の屁理屈には敵わないなと思った。

　それはそれとして、あの可愛らしい少女漫画の絵柄を描きながら、タバコをすぱすぱ吸っていたと思うと、ハロー効果は存在するのだなと実感する。

　最近は、さくらももこのエッセイを読むことにハマっている。

　さくらももこのエッセイ集を読んでみると、その面白さに感嘆してしまう。正直あれほど面白いとは思わなかった。

　さくらももこが、エッセイを手掛けていたのは、ずっと前から知っていた。しかし彼女のエッセイに興味がもてなかった。その理由は、ごく単純で、さくらももこがエッセイストである前に、漫画家だからだ。

　さくらももこ。
　その名前を聞いて連想される職業が『漫画家』であるなら、エッセイよりも漫画を優先的に読みたくなるのも仕方がないことではなかろうか。

　ただし、今となってはその優先順位をつけたことを後悔している。

　先述にも書いた通り、彼女のエッセイがめちゃくちゃ面白い。

　平易な語彙で書き綴られたエッセイは、日常の中にある些細な面白さが書かれており、読んでいくうちに、自分の日常の中にも、もしかしたら面白いことが隠れているのではないかと思わせてくれる。変わらないと思っていた日常を、ほんの少し俯瞰した視線で見れるようになった気がするのだ。

　そんなわけで、心の底から湧き上がる好奇心を何らかの形で昇華しなければと思い、こうしてnoteの記事として書いている。

　さくらももこはすでに鬼籍に入ってしまった。
　もうこれから新しいエッセイが出てくることはないと思うと、大変心苦しい。しかしこれまで出してきたエッセイの面白さが、令和になって色褪せることは微塵もないだろう。

そう思いながら、これからもさくらももこのエッセイを読んでいく。