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預金のしくみ:外生的貨幣供給理論と内生的貨幣供給理論

金融教育の場でしばしば議論されるのが、預金のしくみと貨幣供給の理論です。ここでは、預金がどのようにして発生するのかについて、伝統的な「外生的貨幣供給理論」と、より現代的な「内生的貨幣供給理論」の二つの視点から探求してみましょう。

外生的貨幣供給理論

外生的貨幣供給理論は、銀行が顧客から預かった預金をもとに融資を行い、そのプロセスを通じて貨幣が供給されるという考え方です。顧客が銀行にお金を預けることで、その資金が他の個人や企業への融資の源泉となります。銀行は、預かった資金の一部を基に融資を行い、融資によって生じる利息を収益源とします。この理論においては、貨幣の供給は銀行外部からの預金によって始まるとされています。

内生的貨幣供給理論

一方、内生的貨幣供給理論は、貨幣供給が銀行の融資行為そのものによって生じるという考え方です。この理論によると、銀行は貸出を行う際に新たな預金を「創造」します。つまり、銀行は融資の申し込みがあると、融資金額に相当する預金を借り手の口座に記録することで、新たな預金を発生させるのです。このプロセスは、顧客からの預金がなくても行われ、貨幣供給は経済内部から「内生的」に発生するとされます。

どちらの理論が正しいのか?

実際には、これら二つの理論は銀行システムと貨幣供給の異なる側面を説明しています。外生的貨幣供給理論は、貨幣の安定性や銀行の流動性管理の観点から重要であり、内生的貨幣供給理論は、経済活動と密接に関連する銀行の融資行為を通じた貨幣供給の動態を解明します。

経済や金融の世界では、現実は単一の理論で完全に説明できるものではありません。外生的貨幣供給理論と内生的貨幣供給理論の両方が、銀行システムの理解と貨幣政策の適用において有用な洞察を提供します。経済学者や金融専門家の間でも、これらの理論の解釈や重要性については様々な意見があり、現実の金融システムの複雑さを反映しています。

金融教育の場では、これらの理論を理解することで、預金と貨幣のしくみについてより深い洞察を得ることができます。また、経済活動の背後にある金融の原理を学ぶことで、より賢明な金融行動を取るための基礎を築くことができるでしょう。

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