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日本の財政政策転換点:プライマリーバランス黒字化目標の見直しと新指標への道

2025年にプライマリーバランス(PB)の黒字化が
不可能となったことを受け、
財務省は新たな緊縮目標として
「歳出に利払い費を加えた財政収支」の概念を提唱する見込みです。

これに対抗して、
自民党内の積極財政派は「政府の『純』利払い費対GDP比率」を
新たな指標として提案する方向であると予測されます。

ここで言う「純」とは、
日本銀行に支払う利払いを除外するという意味です。

財政政策検討本部の西田昌司本部長は、
PBを超える新たな指標の検討と提案の重要性を強調しています。

この背景には、
PB黒字化が直接的に財政破綻と関連していないという認識があります。

実際に、PBが悪化したとしても、
日本が財政破綻に至っていない実績がこれを物語っています。

日本を含む複数国のPB状況を見ると、
1998年以降、日本のみが常にPB赤字を記録しています。

他国では黒字を達成した時期がありながらも、
アルゼンチン、ギリシャ、レバノンは財政破綻に至りました。

これらの国々が財政破綻した背景には、
国債が外貨建てまたは共通通貨建てであったことが大きな要因です。

一方で、日本国債は円建てであり、
日本銀行は必要に応じて国債を購入できるため、
理論上は財政破綻が起こり得ない状況にあります。

この事実は、PBを黒字化する必要性を問い直すものです。

PB黒字化は、財政破綻を防ぐためではなく、
むしろ財政破綻に至るリスクを高める可能性があるためです。

PB目標の維持は、デフレからの脱却を妨げ、
サプライロス型インフレを引き起こす恐れがあります。

これが進行すると、供給能力が不足し、
貿易赤字の拡大と為替レートの低下を招き、
最終的には外貨建て国債の発行を余儀なくされる可能性があります。

このシナリオが実現すれば、
日本は真の意味で財政破綻に直面することになるでしょう。

この分析から、
PBを含めた現在の財政目標は見直しを迫られています。

財政健全化のための新しいアプローチが必要であり、
それが経済成長と財政の持続可能性の
両立を実現する鍵となるでしょう。

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