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円安で富裕層の資産運用はどう変化した?

歴史的な円安になる可能性

2022年6月末時点で、
米ドル円の為替レートは
1米ドル=136円となりました。

2022年の年始が
115円だったので、
たった半年の間で21円、
比率にすると15.4%も
円安に進んだことになります。

米ドルだけでなく、
その他のほとんどの国の通貨に対しても
年始から円安となっています。

現在、
円安が進んでいる一番の理由は
日本と諸外国の金利差です。

金融緩和を
続けている日本の金利は
ゼロのままですが、
諸外国の中央銀行は
すでに景気が過熱したことからも
金融政策を引き締め方向に転換し、
金利を上げ始めています。

一般的に、
資金は金利が高い通貨に向かうため、
円が売られ、
外貨が買われることで
円安が進行している状態でした。

特にアメリカは
急激なインフレ(物価上昇)を
抑制するためにすごい勢いで
金利を上げているため、
急速に米ドル高・円安が進んでいます。

アメリカが現在の予想を
超えるペースで利上げを実施し、
日銀の政策が変わらなければ、
より円安もありえるだろう。

次の節目は1998年の高値147円で、
この水準を超えれば
1990年以来32年ぶりの円安となる。

その円安で富裕層の資産は?

現在の円安で、
日本人富裕層の資産は大幅に拡大している
と言われています。

なぜなら
富裕層の金融資産の中核である
株式や債券などはほとんどが
米ドル建てのためです。

年始から米ドルが上昇した分、
つまり15%くらいは
為替によって資産が増えていることになります。

株式は
全体的に下落しているので、
見方によっては
増減がないように感じるかもしれませんが、
富裕層ほど
株式よりも債券や金など
安全資産の割合が高く、
トータルで資産は
プラスが増えているといわれています。

また、
外貨、特に米ドル建てが資産の中核
となっている富裕層にとっては、
基本的に円安は良い傾向に
動いていると考えられます。

外貨資産を増やす富裕層

では円安によって
富裕層の資産運用はどう変わったのかというと
さらに外貨資産を増やしている富裕層が多いと
いわれています。

円安によって外貨資産の円評価での
価値が上昇しており、
外貨比率が当初の50%から55%や60%に
高まっている富裕層が多くなっている
とのことでした。

本来の、
アセットアロケーション(資産配分の最適化)の
考え方だと、
比率が高まっている
外貨資産を売却して円転し、
元の外貨比率に戻す調整
(リバランス)を行いますが、
最近はこの調整を行わず、
外貨比率60%を維持、
もしくは外貨比率をさらに増やして
65%、70%にする富裕層が増えているようです。

なぜ、このような
現象が起こっているかというと、
3つのポイントが考えられます。

金利がある通貨で資産運用したい

現在、
日本円では0.1%の
金利も生み出せないが、
米ドルならアメリカ国債でも
約3%の金利がつきます。

もう少しリスクがある
米ドル建ての社債などに投資をすれば
4%、5%の金利を得ることも
難しくありません。

現在の為替レート136円で
米ドルに投資し、
5%複利で10年間運用した場合、
83.4円を超える円高にならなければ
トータルの運用益(円評価ベース)で
マイナスにならないといいます。

つまり、
今後どうなるか分からない為替を
気にするよりもシンプルに
高金利で長期投資することが重要
と考えている富裕層が多いというわけです。

一過性の円安ではないと考えている

現在の為替水準が続く、
もしくはさらに
円安に進むと考えている富裕層も多いです。

現在、
為替相場が動く
一番大きな要因は各国の金利差なので、
日本が金利を上げない限り
大きく円高に戻ることはありません。

今回の円安や
インフレに対する政府や
日本銀行の対応を見て
日本は円安を止められない、
金利を上げられない国だ
と考えているということですね。

円は安全通貨ではないと考えている

長らく日本円は
安全通貨と呼ばれてきました。

戦争や経済ショックなど
世界を揺るがすような有事の際に買われて、
円高が進行してきたからです。

ただここ数年は、
その安全通貨としての
動きはほとんど見られていません。

ロシアによるウクライナ侵攻の際は
円高のタイミングはなく
一方的に円安に進みました。

円を
保有する理由は
もちろん自国通貨ということもありますが、
安全通貨としての
役割も大きかったこともあります。

ただ、
その機能が失われたなら
保有割合を減らしてもよい
という理屈である。

外貨比率を高める調整も1つの選択肢

以上の理由から、
多くの富裕層は
外貨比率を60%から70%まで高める
という行動を取っています。

また
これまで外貨を持つことに
消極的で外貨比率20%だった
富裕層も考えを改めて50%まで
増やしているケースも
あるといわれています。

現在の円安は、
ヘッジファンドなどの
短期的な投資によって演出された
一時的な状況という意見もあります。

今後円安に進むという相場観や、
金利が高い通貨でもっと
運用したいという希望がある場合は、
外貨比率を60%や70%と
高める調整も1つの選択肢と
念頭に置いておくのも
必用なのかもしれません。

一緒に学んでいきましょう!

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