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20 現代貨幣理論(MMT)の歴史と再評価:伝統から革新への軌跡

MMT(現代貨幣理論)は、
近年にわたって広く知られるようになったものの、
実は100年以上の歴史を持つ、
伝統的な経済理論体系に根ざしています。

この理論は、
政府が自国通貨を発行する権限を持っていることに注目し、
その通貨発行権を活用して経済政策を考えるべきだと主張します。

MMTが広く注目を集め始めたのは、
アメリカの若手政治家アレクサンドリア・オカシオ=コルテスが
政府支出の赤字に対する新しい視点を提案し、
それがメディアに取り上げられたことからです。

彼女の発言は、特に財政赤字に対する従来の懸念を覆すものであり、
MMTに基づく政策が経済活性化に貢献できるとの主張を強化しました。

MMTの理論体系は、
ケインズ経済学やハイマン・ミンスキーの研究、
さらにはジョン・メイナード・ケインズや
ヨーゼフ・アロイス・シュンペーター、
そしてゲオルク・フリードリヒ・クナップの国定貨幣論にまで
遡ることができます。

これらの経済学者は、
経済のマクロ的側面や貨幣の性質について深い洞察を提供し、
MMTの理論的基盤を形成しました。

MMTは、
ケインズ経済学が主流だった時代の延長線上にあるとも言えますが、
1980年代以降の経済学のトレンドによって
主流から外れる形となりました。

しかし、2008年のリーマン・ショックや2020年のコロナ禍など、
大きな経済危機を経験する中で、
MMTが提案する経済政策への関心が再び高まっています。

MMTは、財政赤字を悪と見なす従来の観点に挑戦し、
経済成長や社会福祉の向上に貢献する
政府支出の可能性を探る理論として、
再評価されつつあります。

経済学においては、
流行り廃りよりも「現実との整合性」が重要であり、
MMTは現代の経済状況に対する有効なアプローチを
提供していると考えられています。

そのため、MMTは「新参者」の理論ではなく、
長い歴史と深い学問的背景を持ち、
現在の経済課題に対する解答を
提供しようとしている理論と言えるでしょう。

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