外貨を日本に持ち込めない理由と経済への影響
多くの人が悩んでいるこの問題について、今回はその解決策を考えていきます。日本では、輸出などで得た外貨をそのまま国内に持ち込むことができないことを不思議に思う方が多いかもしれません。しかし、その理由はシンプルです。日本国内では、外貨が直接使えないからです。
「でも、自分は外貨預金を持っているよ」という方もいるかもしれませんが、それは実際には「あなたが海外にドル資産を保有している」だけであり、物理的に日本に持ち込んでいるわけではありません。実際には、アメリカにあるドル資産をオンラインで確認しているに過ぎないのです。
ドル資産を円に変える方法
ドル建て預金を日本国内で円に換えるには、銀行で両替するしか方法がありません。このとき、日本の銀行はアメリカの負債(ドル建て預金はアメリカの銀行の負債)を引き受け、その代わりに日本円の預金を発行します。つまり、あなたの銀行口座には日本円が加算されることになるのです。このプロセスは一種の信用創造ともいえます。
日本がアメリカとの貿易や投資で得たドル資産は、基本的には日本の対外資産として残ります。これは、日本国内でドルが使えない以上、当然の結果です。
日本と外国の経済収支の関係
一方、外国が日本との取引で得た日本円は、その国が日本円建ての資産を保有することになります。これもまた、国際的な経済取引の結果として、永続的に残ります。
経常収支とは、一定期間内における日本と外国との取引の収支を指し、経常収支が黒字であれば、日本の対外純資産が増えることになります。例えば、2023年上半期の経常収支は、前年同期比で約4兆7000億円増加し、12兆6817億円に達しました。この黒字は主に貿易赤字の縮小や、海外からの配当や利子の増加によるものです。
経常収支の黒字と国内経済の課題
現在、日本の経常収支は第一次所得収支(主に海外投資からの収益)が大きく、貿易収支が赤字であっても全体として黒字を維持しています。さらに、円安が進行することで輸出が増加し、貿易赤字が縮小しているため、経常収支の黒字はさらに拡大する可能性があります。
ここで重要なのは、経常収支の黒字が必ずしも国内経済に直接寄与しているわけではないという点です。実際、得た外貨が円に両替されず、そのまま海外に再投資されることが多く、日本国内の投資や経済成長には貢献していません。
この背景には、デフレによる需要不足が続いていることが一因として挙げられます。しかし、経常収支の黒字を理由に、緊縮財政や規制緩和を推進する政策は、かえって問題を悪化させる可能性があり、慎重な対応が求められます。
この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。