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その情報はどのオケージョンにフィットするのか

SNS・オウンドメディアを担当した方ならおそらく一度は経験していることだと思いますが、困ることのあるあるとして挙げられるのが「とりあえず広告する予算はないけど、オウンド・SNSで発信したい」というオーダーです。そして、このオーダーとともに出てくる問いかけが「どのメディアに出せばいい?」という質問です。

こういう質問を受けると思わず嘆息してしまうのですが(ほとんどのケースがSNSを使ったことのない担当者が上から命じられるままにそのままバケツリレーのように質問をもってくるから)、どうお返ししたらわかりやすく伝わり、もっとちゃんと考えてもらえるだろうかと、少し考えてみました。

で、ひとつ思い浮かんだのが、自身の近所のスーパーの発信です。主に特売とシーズンものの発信としてLINEを活用されていて、つまりチラシの代替として受け取るわけですが、これがとても使えるんですよね。大体週末に送られてくるのですが、それを楽しみにしているくらいで、それを見て、週末の献立が決まるくらい生活にフィットしている情報源になっています。

ただ、これがInstagramやX、Facebookで発信されてたとしたらどうかと考えると、たぶんこんな風にしっかりと追いかけることはないんだろうなと思ったんです。

もうひとつ、同じように近所で毎週のように通っているお店が、コーヒー屋さんとワインショップとパン屋さんがありますが、こちらはすべてInstagramからの発信に頼っています。そしてこれまたInstagramで見るからこその情報で、これがXやLINEだったらおそらくスルーしちゃうな、と思ったんです。

さらに、お店から離れて今度は仕事関連の情報。日経クロストレンド、Lobsterrをほぼ必ずチェックしていますが、こちらはメルマガからの情報をフックに見ています。そもそもLobsterrは月曜朝に送られてくる「メールメディア」ではありますが、月曜の朝という、一番フレッシュなタイミング(幾分まだ仕事のエンジンのかかりきらない状況)だからこそ、メールを開いたら必ず読み込んでしまう、というルーティンになっています。

メールは、フォルダを「能動的」に開くメディアです。受動的に時間を潰すSNSと違って、自分で「どんな情報があるか」を探し当て、そのメールを開いている時は「1対1」となる、という特徴があります。

メールは必然的にじっくりしっかり見ることと相性がいい。そういう自身のマインドに沿うように、メルマガで紹介されるものと相性がいい情報のひとつは仕事関連になる、ということなんだと思います。

実はメルマガはオウンドとも相性がいいことが最近の気づきです。わざわざメルマガを登録し、わざわざ「フォルダを開く」メールと、長文でしっかりと伝えるオウンドとは相性がいい、ということだと仮説しています。

ここまで考えてみると、自分たちが打ち出したい情報を「どこで出すか」ということを考える際に、そのメディアと自分が“普段”どう向き合っているかというオケージョンを考えることのような気がします。もっと言えば、メディアとの「距離感」を考えること、とでも言いましょうか。

近所のスーパーとLINEがフィットするのも、LINEはふだんは知り合いとの「気取らない会話」をやりとりしているところです。そういう場所だからこそ、その距離感で触れるサービスや商品はLINEが合うが故に、普段着で行くスーパーと相性がいいと言えます。

反面、幾分ブランドと距離のある(憧れやちょっと背伸びする等)ものは、自身を「ちょっとよく見せる」Instagramが合うのかもしれません。アパレルがInstagramと相性がいいのも(LINEやXとあまり相性がよくないのも)ここに起因するのでしょう。

前職では旅メディアを運営していましたが、新しいお店の紹介はX(Twitter)で反響があり、遠い異国の情景や辺境の美しい景色はInstagramで反響がありました。つまりはそういうことなんだと思います(7-8年前の話なので今はまた違うのでしょう)。

Xは最近あまりに治安が悪くなりすぎているので、そもそもどうなんだろう?という感じがしますが、相性のいいメディアはその治安がそのままはまっているような気がします(多くは語りませんが)。

事実、4年前くらいまでは、noteとXは相性がよかったんです。「情報がシェアを起点にフラットに並ぶ」という特徴があった時代にはnote上の「声」がポジティブに拡がっていく様をよく見ていました。最近は、肌感として当時の5分の1以下のような反響のされ方のように見えます。伸びる=炎上と背中合わせになった数年前から、Xではそもそも「発信」との相性が悪くなり続けているように思います。

まとめると、生活者の「オケージョン」が情報の「届き具合」に呼応するんだと思います。もっと言えば、生活の中にどんな居場所(オケージョン)があるのか?を考えるのはブランドであれメディアであれ、最優先のことなのかもしれません。

冒頭に戻ると、なにか「発信する」ことを課せられてる人が考えなくてはいけないのは「○○の目的(WHY)で、○○(WHAT)を伝えたい」という“意図”ではなく(それは発信以前に当たり前に考えること)、必要なのは、その出したい情報(やブランドや活動)が、どういうオケージョンにフィットするものなのか?ということです。

その上で、
・現時点でオウンド・アーンド・ペイドで実施している発信はどんなものがあるか
・その発信において、どんな内容が、どんな人に届け“足りない”のか
・届いたらどんな風に読み取って(受け取って)解釈してもらえそうか(もしくはどんな風に受け取ってもらいたいか?)
・どんな風にSNSでシェアしてほしいのか(具体的な言葉とともに)

このあたりを考えることだと思います。

ここでメモしていた「想起」「距離感」の箇所に近い話です。

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