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売る力がすべて。伊勢丹視察で感じたポテンシャル。 #165

今月のひふみ投信の月次アカデミーを聴いていて、藤野さんの伊勢丹ビジネスの分析がとても興味深かったので、伊勢丹の現場を観に行くことにしました、

新宿伊勢丹の周辺を眺め、売り場を回りながら様子を観察していて、「お買い場」を楽しく創り出して店舗を効果的に使いつつ、見えない裏側で徹底的に個別の顧客を掘り起こした外商セールスを展開することで、伊勢丹の未来のポテンシャルは半端ないことになる!と感じました。

新宿伊勢丹

百貨店というド・インフレビジネスに再び光が当たる

インフレ時代に突入するということは、デフレ下では厳しい!もう終わりだ!と叫ばれてたビジネスに再び光が当たるということです。

不動産開発など、デフレ下では下火でしたが、見直されておりますし、1997年にピークをつけて以来右肩下がりだった百貨店業界もインフレ時代には改めて光輝く時代が来るのだと思います。

百貨店は、高級品が中心であり、ブランドのテナントも多数抱え、銀座や新宿などの一等地に不動産を保有している、超インフレ時代に適応したビジネスです。

江戸時代の商売からの流れを汲みつつ、明治、大正、昭和初期と、超絶にインフレ化する成長社会の消費を牽引してきました。

小林一三の評伝を読むと、阪急百貨店という業態がベンチャーで出てきた時代の消費の勢いを感じます。

いまの時代に起業しても、新しく百貨店をつくる人はまずいません。。

小林一三が阪急百貨店を創業した大正時代はそれくらい、丸ごと何でも揃う店を創っても供給が追いつかない時代だったのだと思います。

これらの歴史を読むと、百貨店ビジネスはやはりインフレ時代に発生し、インフレ時代に強いビジネスなのだと思います。

今は何が不足しているのか?

現代においては、デフレ下で誰でも買える製品は、完全に飽和しています。

欠乏しているのは、個人向けに意味を創り出して、購買ストーリーを生み出す体験の提案です。

特に、何もしていなくてもインバウンド消費が5兆円を超えているなかで、

新宿伊勢丹の店舗。買い物を楽しむ外国人の姿が目立つ。

外国人観光客向けの洗練されたハイクオリティのコンシェルジェや個別コーディネートもまだまだ需要に供給が追いつていません。

つまりここにはとてつもないマーケットポテンシャルがあります。

日本人の富裕層向けのビジネスに加えて、世界で増えつづける富裕層向けのビジネスもまだまだ大きな成長市場になっています。

カナダから来られたお二人。話を聞かせていただくと伊勢丹の建物の歴史的なフォルムが美しいと話しておりました。

伊勢丹がこうしたニーズを汲み取り、インバウンドのトップ市場を抑えていけるならば、いままでの百貨店の歴史とリソースの良い部分を爆発的に伸ばしていける余地があると思います。

過去のバブルの時と異なり、練り上げられた外商セールスのネットワークを国内の顧客だけでなく、海外の顧客に広げることで、海外の富裕層向けの洗練された個別カスタマイズされた外商サービスがめちゃくちゃ伸びしろがあると思います。

海外の富裕層向けのきめ細やかな個別営業のポテンシャル

きめ細やかな心配り、来日してからの体験のコーディネートを通して、お金持ちに気持ちよくお金を使っていただくことを徹底的に突き詰めることで、インバウンド顧客だけで1兆円の売上を創り出していくことも可能たと思います。

海外富裕層への提案においては、伊勢丹の外商に情報提供することが肝になり、伊勢丹の外商セールスしか予約できない高級コンドミニアム、ホテルなどとビジネスも広がると思います。

また、スノーリゾートへのアテンド、日本の伝統資源へのアクセス、伝統まつりの伊勢丹の顧客向けのVIPルームなど、富裕層向けビジネスの全てに介入できる価値があると思います。

これからは、HtoHのビジネスにこそ付加価値がある

Business to Customerのビジネスは総称して、BtoCビジネスと括られてきましたが、こうした括りは意味を無くすと思います。

消費者という大きなくくりではなく、人間としての固有の好き嫌い、クセ、いまの状況を理解しつつ超個別提案していく営業力のカタマリを持ったビジネスの総称として、Human to Humanつまり、HtoHのビジネスにこそ付加価値があるのだと思います。

顧客の好き嫌いの細やかな理解、食生活や健康状態、ライフスタイル、大事にしている価値観、今の悩み事、家族の状況、もちろん記念日、慶弔の日程などもすべて理解して、秘書のように自然とコーディネートする力があれば、伊勢丹の外商がライフパートナーとして空気のようにお客様に張り付いて、替えが効かない存在になります。

やはり、ここまでのおもてなしをやり切るのか、というスーパーおもてなし集団がこれからのビジネスを創り出していくと思います。

ディズニーランドを浦安に誘致したベタベタな営業をやり切れるか

ディズニーランドを浦安に誘致した営業マンが、ディズニー幹部の好きなものを接待しまくるなかで浦安への誘致を決めさせたように、心から気持ちいい、どうしてここまで自分のことに心を配ってくれるのかというレベルでの「接待」が新たな付加価値の源泉になると思います。 

こういうベタベタなドブイタ営業をバカにする人はビジネスを分かっていません。

華やかなディズニーランドが浦安にあるのは、そもそもディズニー本社に浦安に決めさせたドブイタ営業があるからです。

ライバルの富士山の麓になっていたら、まったく違う絵姿になっていたと思います。このあたりは以下の本に詳しいです。

新装版「エンタメ」の夜明け ディズニーランドが日本に来た日 (講談社+α文庫)

来日体験のパートナーに伊勢丹が選ばれる時代

伊勢丹のサービスで成田のプライベートジェットの搭乗口から最高の日本体験ができるとなると、

伊勢丹は富裕層向けの最大の旅行代理店になり、宿泊エージェントになり、場合によっては、不動産投資のコーディネート、ホンダジェット、クルーザー、高級車のディーラーにもなり得ます。

さらに、日本の工芸品や現代アートなどなど、マーケットとの橋渡し役として展開できる余地は無数にあります。

一等地の店舗での接点を持ちつつ、見えない裏側で徹底的に個別で心を鷲掴みにしている外商セールスがある限り、再び百貨店は華やかなインフレ時代の日本を牽引する業界になっていくとを予感したフィールドワークでした。

一等地に立つ、最強の広告塔

こういう時代になっているので、外車のディーラー、生命保険のディーラー、旅行代理店の方で伸び悩んでいる方は早めに伊勢丹の外商に転職することを考えてみてもいいと思います。

また、家電量販店の販売経験がある方も、ポジションを変えて、三越の家電売り場に目を向けてみても面白いかもしれません。

個別提案がすべての外商セールスの世界には、異能集団が集まってくる時代になると思います。

以上、ひふみ投信の勉強会での藤野さんの分析を聴きつつ、自分なりに伊勢丹店舗を視察しながら考えたことをまとめました。

このように考えて、伊勢丹株は買いだと判断しましたので、これからじっくり購入していきたいと思います。

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