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【読書メモ】クロンバックのαを高めるためにはどうすれば良いのか?:『大学生ミライの信頼性と妥当性の探究 ストーリーでわかる心理統計』(小塩真司著)

尺度開発を行う上で最も大事にすることの一つは、尺度の信頼性が高くなるかどうかでしょう。これはスゴイ新規性のある尺度ができた!と主張したくても、尺度の信頼性が低いと少なくとも論文にはなりません。この尺度の信頼性を検証するためのものが、以前のnoteで扱ったクロンバックのα係数です。今回は、クロンバックのαを高める要素について、本書の記述から参考になる二点をまとめてみます。

①質問項目間の相関係数を高める

ある概念の尺度が内的に整合しているということは、尺度を構成する質問項目間の相関係数が高い状態を指すと言えます。つまり、質問項目間の相関係数が高くすることで、クロンバックのαは高い数値になります。

これを分かりやすく説明するために、著者は、極端な例として同じ質問項目を複数出せば自ずと相関係数は高まるとしています。たとえば、人のマジメさという概念を測定する「マジメ尺度」なるものがあるとしましょう。その際に、(1)「私はマジメである」、(2)「私はマジメである」、(3)「私はマジメである」、、、というように同じ質問項目があれば、一部のひねくれ者を除いてほぼ同じ回答結果が得られるために相関係数が高くなることはわかるでしょう。

全く同じ質問項目を複数設定することは無意味なので現実的ではないものの、イメージとしてはとても掴みやすいものがあります。つまり、似たような内容の文言で表現する→質問間の相関係数が高まる→クロンバックのαが高まる、という関係性です。尺度開発の場面では、クロンバックのαを高めるメリットと、似たような質問ばかりで意味が弱くなるリスクとの相剋がありそうですね。

②質問項目を増やす

クロンバックαの算出式の性質上、質問項目が増えれば増えるほど数値は高くなります。立教の修士の時に、データ・アナリティクスの授業での注意事項として、「一つの概念を聞く際には複数の質問項目を尋ねるように!」というものがありましたが、内的整合性の観点で必要なのでしょう(他の理由もあった気もするけど、忘れました。。)。

他方で、ここにもPros/Consが生じます。つまり、信頼性を担保するために質問項目を増やしすぎると回答者の負担は増えます。全体の調査デザインを踏まえた上で、質問項目の数を検討するということが求められます。あー、大変。。。


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