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【読書メモ】組織市民行動の意義は何か?:『人と組織の行動科学』(伊達洋駆著)

変革を促すものではない自身の職務の役割外行動を組織市民行動と言います。ざっくりな書き方でスミマセン。以前は、伝統的な日本の大企業の現場で起きていそうな組織市民行動には興味を持てなかったのですが、本書でもハイライトされているようにさまざまな目的変数に影響を与えるすごい概念です。研究目線では大変興味深い概念だと今では思っています。

組織市民行動は五次元で構成

組織市民行動は、五つの次元で構成されます。つまり、五つの下位次元ごとに他の変数との関連を見ることができるというわけです。具体的には、①誠実性、②スポーツマンシップ、③市民的美徳、④礼儀、⑤利他主義、の五つです。

組織市民行動が与える影響

組織市民行動は職務満足という概念の意義を復活させたことに意義があると著者はしています。というのも、職務満足は職務パフォーマンスにポジティヴな影響を与えないことが実証されていたので使い勝手が悪い概念でした。しかしながら、職務満足→組織市民行動という影響関係が明らかになったのです。

 従来、組織行動論の研究者の多くは、「満足して働くことは大事である」と考えていました。そのため、職務満足がパフォーマンスに強い影響をもたないという結果は衝撃的なものでした。ところが、いくらか時間が経ち、職務満足と組織市民行動の間に関連性があることが見えてきました。組織市民行動の登場によって、職務満足は息を吹き返したのです。
伊達 洋駆. 人と組織の行動科学 (Japanese Edition) (p.145). Kindle 版.

組織市民行動は、離職意思の低下欠勤率の低下に影響することが明らかになっています。つまり、組織市民行動を媒介することで、職務満足がさまざまな目的変数に影響することが示唆され、こうした意味合いから組織市民行動によって職務満足の重要性に再び目が向くようになったのです。


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