【読書メモ】社会的学習理論とは何か:『新装版 社会的学習理論の新展開』(祐宗省三 ・原野広太郎・柏木惠子・春木豊編集)
ビジネスや教育の現場でも自己効力感という概念はわりと有名なのではないでしょうか。この自己効力感を提唱したのはアルバート・バンデューラで、彼は、社会的学習理論を探究する中で自己効力感という概念を提唱したとされています。つまり、自己効力感を理解するためには社会的学習理論を理解することが重要です。本書では、バンデューラによる社会的学習理論の探究過程と、日本における理論の受容と発展について書かれています。
社会的学習理論
理論を理解するのはなかなか骨が折れます。オススメなのは序文やまえがき部分です。本書は日本の研究者4名による編集なのですが、序文はバンデューラ自身が書いているようで、特に冒頭の以下の箇所は、社会的学習理論がどのように人や環境というものを見ているのかが端的に表されています。
本書では、社会的学習理論の碩学である4名の先生方がさまざまな観点から解説してくださっています。この序文の要約的なまとめを頭に入れた上で読み進めていくと理解が深まると思います!
観察学習
社会的学習理論はバンデューラが初めて提唱したものではありません。ミラー(Miller, N. E.)、ドラード(Dollard, J.)、ロッター(Rotter, J. B.)といった先達の主張を踏まえて、1960年代からバンデューラはパーソナリティ研究の知見から社会的学習理論を捉えて社会的学習理論を用いるようになったそうです。
ではバンデューラの主張の何が画期的だったかというと、観察学習を中心にしている点です。学習の様式と内容の双方が社会的であるとする社会的学習理論を観察学習によって展開したとしています。この観察学習については以下のように解説されています。
社会的学習理論とクランボルツ
バンデューラの社会的学習理論を基にしてキャリア理論へと応用したのはクランボルツです。キャリコンとかの資格試験でもこの辺りは有名なのでしょう。本書の中でも、クランボルツの計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)に繋がったように想起される箇所があります。
バンデューラの社会的学習理論において偶然(happenstance)がどのように扱われていたのかを理解できる一節ですね。
最後まで目を通していただき、ありがとうございました!
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