見出し画像

【ワイクを読む!(4/9)】相互連結行動と組織化:『組織化の社会心理学[第2版]』(カール・E・ワイク著)

第3章では相互依存という言葉が使われていましたが、第4章では同じ意味合いとして相互作用が使われています。社会学の領域では相互作用という言葉の方がメジャーなので(なぜかはわかりません。。)、個人的には相互作用の方がしっくりきております。

相互作用の結果として組織が発展していくことを集合発展といい、本章では手段ー収斂の発展のありようが説明されます。具体的には、(1)多様な目的→(2)共通の手段→(3)共通の目的→(4)多様な手段という連鎖が説明され、再び(4)から(1)へと連鎖していくサイクルが説明されています。

(1)多様な目的→(2)共通の手段

集団には複数の人々がいます。そのため集団は、「多様な目的を追究する人々の間で形成される」(118頁)ものと捉えられます。

こうした状況においては、多様な目的から共通の目的に一足飛びに向かうのではなく、お互いの目的を保持しながらお互いにとってメリットのある共通の手段へと収斂していくというワイクの指摘はなかなか興味深いものがあります。つまり、いきなり集団としての共通の意識に向かうのではなく、意識は別々にありながらも手段が収斂していくというわけですね。

(2)共通の手段→(3)共通の目的

共通の手段が生成されてくると、次第に個々人が持っている多様な目的が共通の目的へとシフトしていくとワイクは述べます。たとえば、言語をイメージしてもらえればわかりやすいでしょう。

仮に共通の言語がない状態で、私たちが持っているある事象に対するイメージは個々別々なものです。しかしながら、手段としての言語が共通してくるとその言語に合わせて私たちのイメージは収斂してくるものでしょう。

この辺りは、「自分が考えていることは話してみないとわからない」というワイクの有名な言葉と関連していて、「意味はしばしば事前的ではなく事後的だ」(120頁)ということと関連します。共通の手段が先行して、共通の目的を規定していくという連鎖が指摘されているのです。

(3)共通の目的→(4)多様な手段

集団の中にいる人々が共通の目的を組織として持つようになると、その達成のために分業が生じます。分業が発生すると、その組織にいる人々は共通の手段ではなく、多様な手段を用いてそれぞれが強みを持つことが重要になります。こうして、共通の目的がその集団の人々の多様な手段を促すことになるのです。

(4)多様な手段→(1)多様な目的

その後のプロセスは(2)共通の手段→(3)共通の目的と同様に、手段が目的を促すことになります。つまり、多様な手段が多様な目的を生じさせるという連鎖が生まれ、結果的にサイクルとなるのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?