【読書メモ】「今ーここ」と意識:『ウィリアム・ジェイムズのことば』(岸本智典編著)
『ウィリアム・ジェイムズのことば』を引き続き読み返しています。今回は、意識、心、プラグマティズム、といった内容に関して興味深かった点を書いていきます。
意識の流れ
ジェイムズは意識というものを流れ(stream)として捉えています。この流れを、本書の共著者である岩下弘史さんは「ふわふわ」という言葉で表して『ふわふわする漱石 その哲学的基礎とウィリアム・ジェイムズ』という名著を書かれておられます。
本書では、何に対するアンチテーゼとしてジェイムズが意識を流れとして捉えたのかが解説されています。
ジェイムズは、心理現象を細かく切り分けて分析するというアプローチに対して「流れ」という表現を用いて捉え直しを図ったようです。
「今ーここ」と意識
こうした意識の流れという考え方は、フッサール現象学に影響を与えたと著者は解説されています。ここで登場するのが「今ーここ」という捉え方です。
『組織開発の探究』(中原淳+中村和彦著)で中原先生は、フッサール現象学を「今ーここ」と表現されています。同書を読んだときは、そのように表現できるのだなーと感嘆したものですが、本書でも同様の表現がされていて感動的な思いがしました。
心とプラグマティズム
こうしたアプローチで心に迫ったジェイムズの捉え方は、その後の彼のプラグマティズム思想に繋がっているようです。
目的との結びつきを重視してジェイムズはプラグマティズムを提唱しています。上記箇所の後にあるコンビニの例がわかりやすいのですが、コンビニの全く同じ情景を見たとしても、夕飯を買いに来た人、おやつを買いに来た人、お金を下ろしに来た人、友人との待ち時間を潰しに来た人、とでは違って見えるということを述べています。このようなわかりやすい喩えを使えるくらい、物事の本質を理解したいものですね。
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