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【論文レビュー】組織コミットメントと勤続年数の関係:Beck & Wilson(2000)

新しい組織に入った後、私たちの組織コミットメントはどのように変化するのでしょうか?勤続年数と組織コミットメントの関係性について、少々特殊な組織で検証している論文を今回は見ていきます。

Beck, K., & Wilson, C. (2000). Development of affective organizational commitment- A cross-sequential examination of change with tenure. Journal of vocational behavior, 56(1), 114-136.

組織コミットメントと勤続年数

本論文では、組織コミットメントと勤続年数の関係について先行研究を行っています。そのまとめとしてはポイントは以下の2点です。

  1. 新しい組織に参画した直後には組織コミットメントは急激に低下する

  2. その後は組織コミットメントは高くなっていく

調査対象

本論文の対象はオーストラリアの警察官479名です。警察官の組織コミットメントの高低を測るのってなかなか興味深いものの、測ってしまって良いのだろうかとも思ってしまいます。文化差なのでしょうが、日本ではちょっと考えられません。

警察官の組織コミットメントは低下

先行研究の結果とは異なったと著者たちは結論づけているのですが、オーストラリアの警察官の組織コミットメントは、結論から言えば低下しています。

入社年次ごとのコホート分析を3年間行っているのですが、なかなか辛い状況です。以下の表をご覧ください。

p.126

組織に入った直後だけではなく、継続的に低下していて上昇していない、というなかなかな状況です。昭和の刑事ドラマのイメージが強すぎるのか、組織への貢献とかチームワークとか滅私奉公的の印象を日本の警察官に抱いていたのですが、必ずしもそうではないようです。

オーストラリア警察組織固有の問題の可能性

本研究は先行研究とは異なる発見事実だったわけですが、必ずしも一般化できるかは限らないと著者たちはしています。というのも、組織コミットメントの程度は、組織特性にもよるものだからです。考えてみれば自明ですが、とんでもないブラック企業みたいな組織だったら、入社してから組織コミットメントはダダ下がりになりますよね。つまり、組織の特性は個人が抱く組織コミットメントに影響するのです。

最後まで目を通していただき、ありがとうございました!

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