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【論文レビュー】マッキンゼーの調査で明らかになった外的キャリアを高める重要な要素とは!?(2022年8月17日記事)

ある会社に転職した時、恩師の一人である花田光世先生へ報告に行った時に「おめでとう!」と言われた後、「ポジションは?」「給与はどれくらい上がるの?」「次の会社での昇進可能性は?」と矢継ぎ早に尋ねられてタジタジしたことがありました。その後に言われたのが、「塩川さんは内的キャリアばかり意識しすぎだから外的キャリアについても意識しないとね」というご助言でした。現在も、内的キャリアに関する研究に携わり、出世にも特定のポジションにも興味がない人間なので世渡りが下手なままです。久しぶりに上記の金言を思い出すことがあり、マッキンゼーが生涯収入に焦点を当てた外的キャリアに関して調査したレポートを読んでみました。

学歴よりもスキル習得

まず、学歴は決して大事な要素ではないとしています。端的に、20歳前後で生涯収入が決まるわけではないということを冒頭で指摘しているのはなかなか爽快です。とはいえ、学歴がのちに述べる生涯を通じたスキル習得と関連はするので、学歴や不要というわけではないことは留意が必要でしょう。

学校卒業時に推定された生涯収入よりも、その後にキャリアを進めた結果として実際に得ている生涯収入が高い層は、アメリカ、ドイツ、イギリスの3分の1、インドでは4分の1という高い比率で存在していると指摘しています。たしかに結構な高い数値ですね。こうした生涯収入が学卒時よりも高くなった層で何が特徴だったのかというとスキル習得だったと結論づけています。

スキル習得には大きな変化が大事

ではどのようなスキル習得が生涯収入の向上につながったのでしょうか。マッキンゼーによれば、大胆な職務の転換が大事であり、前の職務で求められたスキルと後の職務で求められるスキルとの差が大きいことが、生涯収入が高くなった層に特徴的であるとしています。

まず大前提として新しいスキル習得ができるということが必要不可欠なのでしょう。つまり、日本企業の典型的なジョブ・ローテーションでは異なる職務への異動がなされるわけですが、仮に自社内の人脈でなんとなく仕事をこなせてしまう状況ではスキル習得につながらないでしょうから留意が必要と言えそうです。実際、本レポートの中では大胆な転職によって新しいスキル発揮が求められることが重要という記載がありますので、社内での既存ネットワークが活きる環境では少々弱いのかもしれません。

スキルを発揮する場面を創る工夫

もう一つ大事な点は職務でスキルを発揮することです。資格試験の学校や社会人向け大学院に行って熱心に知識をインプットしても、それを発揮するというところにまでスコープに入れていないとスキルの開発にはつながりません。

スキルのインプットだけではなく、そのあといかに職務の中で試行錯誤しながら発揮するのかという工夫が重要なのではないでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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