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【論文レビュー】「今後のキャリアに焦りを感じるなぁ」という気持ちをどのように測定できるのか?:尾野&岡田(2014)
キャリアをすすめる上で焦りを感じることはよくあることであり、特に若手社員はこうした焦りから離職に至るケースもあります。こうしたキャリア開発における焦りをキャリア焦燥感と呼び、本論文ではキャリア焦燥感を測定するための尺度開発を行っています。
尾野裕美, & 岡田昌毅. (2014). 若年就業者におけるキャリア焦燥感の構造- キャリア焦燥感尺度の開発. 産業・組織心理学研究, 28(1), 31-41.
具体的には以下の(1)〜(3)の三つのステップで研究を進めています。
(1)予備的調査
著者たちは最初に、若手社員を対象としたインタビュー調査を行い、キャリア焦燥感に関連しそうなものを9つのカテゴリーとしてまとめ、さらに4つの上位カテゴリーに分類しています。9つの概念について3つの質問文を作成したものが以下の図です。
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(2)因子分析と信頼性・妥当性の検証
その後、若手社員を対象とした定量調査を行い、まず探索的因子分析によって3因子構造にまとめられることを検証しています。因子負荷量が.30未満の項目と、複数の因子への因子負荷量が.40以上だったものを除外した16項目について因子分析を行った結果が以下の通りです。
![](https://assets.st-note.com/img/1671455455314-YoX5J7fCld.png?width=800)
その後に確認的因子分析を行い、三因子構造で把握できることを検証しています。
妥当性の検証として、「総合的なキャリア焦燥感の認知」「総合的なキャリア焦燥感の喚起頻度の認知」「成長不安」「抑制不安」「不安・焦燥」「離転職意思」の各概念との相関分析を行なっています。予測した通りの結果が得られたことから妥当性が検証されたと結論づけています。
(3)因子妥当性の検証と妥当性の再検証
(2)と同じカテゴリーに属する異なる母集団に対して再度調査を行い、キャリア焦燥感全体と、下位の三次元それぞれでクロンバックαを求めて因子妥当性を検証しています。
さらに、精神的健康度(General Health Questionnaire:GHQ)との相関分析を行うことで、改めて妥当性の検証を行なっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1671455988176-Ilmv7u8xfa.png)
丁寧な検証をされていて、尺度開発のお手本となるような研究でした。今後も折を触れて読み返すことになりそうです。
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