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【論文レビュー】組織コミットメントに関する代表的なメタ分析論文:Mathieu & Zajac(1990)

組織コミットメントは1980年代にかなり研究が増えました。本論文では、その時代における先行研究をメタ分析した論文です。組織コミットメントが何から影響を受け、何に影響を与えているのかが明らかにされています。

Mathieu, J. E., & Zajac, D. M. (1990). A review and meta-analysis of the antecedents, correlates, and consequences of organizational commitment. Psychological bulletin, 108(2), 171-194.

先行変数との関係

以下が組織コミットメントと先行変数との相関に関するメタ分析の結果です。

p.175

これをみてわかる方には以下の説明は不要です。読み飛ばしてください。ちょっと値が多すぎて、、、という方に向けて書きますと、様々な指標が書かれていますが戸惑うことはありません。ざっくりいってしまえば、カイ二乗(x2)が1%水準で有意(p<.01)であり、相関係数がそれなりに高い値(r<.15 or r<-.15)であるもの、にハイライトすれば良いでしょう。

個人特性(Personal Characteristics)

上の項で書いた基準に照らし合わせると、年齢、勤続年数、プロテスタント倫理、職位の四つが組織コミットメントの先行要因として正の相関を有意に持っていると言えます。年齢、勤続年数、職位といったあたりは企業勤めをしているとなんとなくイメージできますね。プロテスタント倫理はなかなか興味深いものですが、日本の雇用社会とはちょっとマッチしないのかもしれません。

職務特性(Job Characteristics)

ここでも同様に見ていくと、自律性チャレンジが該当します。内発的動機づけの職務特性理論の中でもこの二つが組織コミットメントと有意な正の相関関係を持つということです。

グループ=リーダー関係(Group-Leader Relationships)

構造づくり配慮が組織コミットメントと有意に正の相関があるようです。いわばPMの両方が組織コミットメントに関係する、ということがメタ分析で明らかになった、ということでしょうか。

役割状況(Role States)

組織特性(Organizational Characteristics)は該当なしでしたのでカットして、こちらでは役割曖昧性役割コンフリクトが有意に負の相関関係があったとしています。

成果変数との関係

ここまでは先行変数との関係を見てきましたが、本論文では成果変数との関係もメタ分析されています。

p.177

上の結果を先行変数の基準と同様にして見てみると、探索意思、離職意思、離職の3つと有意に負の相関があることがわかります。組織コミットメントが低いと、現在の職場以外のところに目が向いたり実際に移ってしまったり、といった結果につながりやすいということでしょう。

最後まで目を通していただき、ありがとうございました!

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