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【ワイクを読む!(7/9)】淘汰と組織化:『組織化の社会心理学[第2版]』(カール・E・ワイク著)

現実世界は多義的です。白黒はっきりつけられることは珍しく、ある事象に対してどのように意味を見出すかは、人によって、観点によって、時間によって、極めて多様であると言えます。こうした多義的な世界において意味を為すために淘汰というプロセスがあるとワイクは本章でさまざまな事例を基に述べています。(私には八割以上、なにを言っているかわかりませんでしたが)

「百聞は一見に如かず」という諺は、英文では”Seeing is believing.”と表現されると中学の時に習った記憶があります。ビジネス英語で一度も使ったことがないのでその真偽はわからないのですが、淘汰とはこの「seeing」に該当するとワイクは述べています。つまり、私たちが事象を見るという行動のプロセスが、私たちは何を認識するかという認知のプロセスの前提になるということです。

淘汰は、“何が進行しているか?”という問に対するいくつかの答を生成する組織的過程である。淘汰過程は意味や解釈を直接に、そして個人や部門あるいは目標を間接的に淘汰する。淘汰過程は意思決定が宿るところであるが、組織化モデルにおける意思決定とは、世界についてのある解釈やその解釈から敷衍されるものを選択し、そうした要約を以後の活動に対する制約として用いるかどうかを決定することである点を銘記すべきである。(226頁)

前提になるということは、行動が認知を規定するわけですから、この前者のプロセスを淘汰としてワイクは述べているのでしょう。つまり、私たちは物事をそのまままるっと認識するなどということは起こり得ず、淘汰した結果としてのものをいわば選択的に認識しているというわけです。

現在を空間的に捉えれば上記のような淘汰に基づく認識が理解できる一方で、現在を時間的に捉える場合においても淘汰は起こります。つまり、現在の時点から過去の認識を淘汰して現在に投射するということです。

キャリアというものは通常一連の行為で、それは事前に計画されたものというよりも事後に解釈されたものである(252~253頁)

過去の振り返りというアプローチは、ホランドやシャインなどの静態的なキャリア理論でも、クランボルツやジェラットなどの動態的なキャリア理論でも、異口同音に重視されるプロセスです。つまりは、キャリアという観点で現在を時間的に意味づけるためには、現在時点から過去を解釈して事後的に意味が生成されるということなのでしょう。ワイクの考え方は、キャリア理論にも影響を与えているとも考えられるかもしれません。


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