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【論文レビュー】大学生のキャリア開発への介入効果について:Soares et al.(2022)

海外では、キャリア開発を促す施策の効果性に関する検証は、社会人よりも学生を対象としたものが非常に多い印象です。そのためレビュー論文を検索すると学生を対象としたものが見つかり、本論文でも大学生を対象としたものとなっています。

Soares, J., Carvalho, C., & Silva, A. D. (2022). A systematic review on career interventions for university students: Framework, effectiveness, and outcomes. Australian Journal of Career Development, 31(2), 81-92.

システマティック・レビューの概要

システマティック・レビューとは、ざっくり言えば、一定の条件で論文検索を行ってある領域や概念に関する先行研究をレビューするものです。本論文では、キャリアへの介入、対象が大学生であるかといったことを検索条件として、以下のようなステップで行っています。

p.84

元々596報あった先行研究から、重複したものを排除して519報になり、そこから最初のスクリーニングで476報減り、2回目のスクリーニングでさらに17報が除かれ、最終的に26報が残った、という読み解き方になります。こうして最後まで残った26報について内容を考察しているのが本論文です。

介入方法の背景理論

残った26報について著者たちは、ベースとなる理論枠組み、介入の構造、評価の仕組み、介入の成果、という4点で整理をしています。たとえば以下のような感じです。

p.86

読み解き方としては、たとえば上図の下の二つはサビカスのキャリア構築理論をベースとした介入であったことが理解できます。他の背景理論としては、キャリア構築理論とともに特性因子論社会的認知理論が多く活用されていることがわかります。

本論文を読むことで、介入の手法だけではなくその背景となる理論についてもよく検討し、状況や目的に合致したアプローチを取ることが、大学生のキャリア開発にとって貢献できるものとなることがわかるかと思います。

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