【論文レビュー】アメリカでのキャリア・アダプタビリティ尺度の検証結果:Porfeli & Savickas(2012)
本論文が掲載されているのはキャリア・アダプタビリティ尺度の開発論文が載っている同じ学術誌です。同論文と1st authorと2nd authorを入れ替えて書かれたもので、アメリカでの同尺度の英語版の検証を行ったものです。日本での高校生に相当する10年生と11年生を対象にして調査を行っていて、平均年齢は16.5歳となっています。
結論
確認的因子分析を行った結果として4つの下位次元で24設問の構成が検証されたとしています。妥当性の検証としては、基準関連妥当性として職業的アイデンティティという概念を用いています。つまり、尺度として狙ったものを測定することができましたよ、ということを仰っています。
基準関連妥当性の検証
妥当性の検証として、具体的にはVISA(Vocational Identity Status Assessment)の6つの下位次元とキャリア・アダプタビリティの4つの下位次元およびキャリア・アダプタビリティ全体との相関関係を明らかにすることで検証しています。
結果は上の表の通りで、妥当性が検証されたというように結論づけておられます。
天井効果は?
本論文で若干気になるのは天井効果の存在です。天井効果ってなんでしたっけ?という方は、ビジネスリサーチラボの能登さんがまとめられている素晴らしい記事があるので、以下の「良い質問項目を作り上げるポイント」の(9)をご参照ください。
天井効果に着目した上で以下の24設問の記述統計を見てみると気になるところがあります。
特に気になるのは、統制(control)の4つ目の設問です。平均(mean)から標準偏差(SD)を加算すると、この尺度の回答の最大値である5を超えてしまい、天井効果が気になる値です。
全般的にアメリカでのこの調査での回答スコアは高く、日本との文化差を感じる内容でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?