【徹底解説】キャリア・アダプタビリティ尺度(4)分析結果:Savickas & Porfeli(2012)
本論文はキャリア・アダプタビリティを測定する尺度開発を行ったものです。そのため、分析結果のところでは適合度や信頼性といった心理統計の用語になじみがあまりない方にとっては読みやすいものとは言えないかもしれません。なるべくざっくりとまとめてみたので、ご関心のあるところをつまみ食い的にご笑覧ください。
国際比較
13か国のスコアを一覧にしたものが本論文の中で紹介されています。
まず、台湾については注意を要するようです。というのも本論文によれば、他の12か国では5件法で取ったのに対して、台湾では6件法で調査したようなのです(理由は未記載なので不明)。それを1-5に置き直して分析したと言及されているのですが、上の図でも明らかなようにスコアが高ブレしている結果となっており、著者たちは台湾の結果については問題がある可能性があると述べています。
この尺度を共同研究者の先生方と私とで翻訳したものが今秋に掲載予定なのですが、上の国際比較のスコア一覧とざっくり比較すると日本はスコアが低いみたいですね。この辺りは深掘りすると面白いかもしれないとも思います。
モデル適合度
関心・統制・好奇心・自信という4つの下位尺度から構成されるモデルの適合度に関するスコアの一覧は以下です。ブラジルとポルトガルは除かれていますが、これは両国では関心と好奇心の2つの下位尺度しか調査していないためなのです。先ほど引用したスコア一覧をもう一度ご覧いただければおわかりいただけるかと思います。
先ほどのスコアの上振れ問題と同様、台湾のRMSEAがやや高いのが少しだけ気になりますが、まあ著者たちも述べているように許容範囲と言えるのでしょう。
信頼性
信頼性の検証としてはクロンバックのαを用いています。若干、低めとも言えるものが統制と好奇心で出ていますが、0.7以上であることを考えると問題なさそうです。
測定不変性
測定不変性については、Configural InvarianceおよびMetric Invarianceで不変性が示されたと結論づけています。つまり、ざっくり言えば、関心・統制・好奇心・自信の4因子構造であることが異なる国家間で検証されましたよ、ということです。
他方でScalar InvarianceとResidual Invarianceの不変性は示されていません。文化差や国の違いによってスコアの差は出るわけですから、許容範囲内での差異が出るというように結論づけておられます。
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