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【論文レビュー】人生100年時代のキャリア形成と雇用管理の現状について:労働政策研究・研修機構(2020)

キャリアは個人が主体となって開発する、という考え方が日本企業でも一定の市民権を得てきたようです。では、それに合わせて、企業側の雇用管理はどのように変化してきているのでしょうか?

労働政策研究・研修機構. (2020). 人生100年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査. 労働政策研究報告書. No.206.

異動配置の現状

まず注目したいのは、異動配置です。何らかの制約がないケースであれば、企業には従業員に対する異動配置の権限はあるものです。だからと言って、企業が無制限かつ自由に従業員の異動配置を行うことは稀でしょう。なぜなら、意に沿わない人事異動を受けた個人は離職を考えるので、雇用管理上あまりよろしくないわけです。

では、企業は異動配置においてどのくらい個人の意見・希望を反映させているのでしょうか。

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上の図表の下から二番目の質問をご覧ください。2020年時点においては、60.3%の企業において個人の意見や希望が反映されない企業主導の異動人事が行われているようです。従業員に対してはキャリア自律しましょう、と言っておきながら、異動配置において個人の意向が反映されるケースは少ないという悲しい状況のようです。

ただ、この点は社員側にも課題があるかもしれません。というのも、異動に関して個人側の意向が通るケースは現在でも見られます。特に40代以上の世代に見られ、自身がキャリア自律できておらず、他者に対するやっかみでそのような発言をするのでしょう。

昇格者の現状

次に、高い職位への登用について内部昇進か外部採用のいずれかで対応するかについても見てみます。先ほどの図表の一番下の質問をご覧ください。

内部昇進で対応する企業が実に80.9%という高い比率を占めています。日本企業にいると肌感として納得感はあるものの、外資にいた時分は真逆だったので、ここまで高い比率になることは意外でした。

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