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【読書メモ】データ分析を始める前や後の行間を埋めてくれるノウハウ集:『SPSS完全活用法 データの入力と加工』(酒井麻衣子著)

定量調査の考え方や手法に関するテキストは多くあります。選ぶのも大変なくらいに充実していると言えます。本書は、そうした考え方や手法の前に必要な、データ分析を始める前後や最中においてそうしたテキストが扱っていない行間を埋めてくれるノウハウ集です。SPSS初心者にとって大変ありがたい一冊なのではないでしょうか。

実はやっていたことの言語化

立教の修士時代にデータ・アナリティクスの授業を受けましたし、博士課程でも心理統計の分析について授業を受けさせてもらいました。授業でメインに扱われるのは、個々の分析手法について、どのような場面でどのように活用することでどのような示唆を出すことができるのか、という内容であり、これは非常にありがたいものです。

ただ、こうした内容がメインになるのでいたしかたないのですが、SPSSにデータを実際に入れるときの一工夫や、欠損値をどのような値にして処理するかといった細かな内容には時間がなかなか割かれません。おそらく、そこまで行うと1.5倍くらいの時間が必要なのでしょう。ただ、ど素人的にはそうした点につまずきがちだったりします。

本書では、こうした細かいけれど現実的には非常に重要なノウハウが詰まっています。読んでみると、「あー、これ、やったなぁ」とか「あ、あれはこういう点で重要だったのか!」など、遠い記憶を少し思い起こすことができます(気のせいかもしれません)。

データのクリーニング

読んでいて、今後、使いそうだなと思ったのはデータのクリーニングについてです。ローデータを入手しても、それをそのままデータ分析に使えるわけではありません。異常値、入力ミス、不整合データなどについて、SPSSを用いてどのように探し出すことができるのかが細かく丁寧に書いてあって、非常にわかりやすいです。

WEB調査のありがたさ

本筋とそれますが気づいたことの一つに、WEB調査ができることのありがたさがあります。本書の最初の40%くらいは、紙ベースでの質問紙の回答票をどのようにSPSSに入れていくか、あるいはその際のTipsに紙面が割かれています。紙で行うとこんなに大変なのか、、、と思うことが多々あったので、WEB調査ができることのありがたさを噛み締めつつ、自身のデータ分析に向き合おうと思います。


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